プロ野球引退後、会社員希望が急増も立ち塞がるサードキャリア問題!
NPB(日本野球機構)は26日、昨年の秋に宮崎で開催されたフェニックスリーグに参加した12球団、238人(平均23、7歳)に対して行った「セカンドキャリアに関するアンケート」の結果を発表した。今回が、9回目の調査になるが、引退後に不安を感じている選手は、全体の72.7パーセントで、前回の69.3パーセントからアップ。複数回答可能の不安要素については、収入が44.5パーセント、進路が43.8パーセントだった。 「やってみたい」と「興味がある」にマークした(複数回答可)引退後の希望進路としては、1位に「資格回復し高校野球指導者」、2位に「大学社会人の野球指導者」と、アマチュア指導者の人気が不動だったが、3位には、昨年7位だった「一般企業の会社員」が入った。 同発表資料には「上位に変動がないが3位に『一般企業の会社員』が入る(過去4年で7位が3回、8位が1回)。『やってみたい』は8位タイにとどまるが『興味がある』が多いのは、今後研修等の必要性が高いと考えられる。今後注意して見守りたい」との見解が付随されていた。 なぜセカンドキャリアの希望傾向に変化が生まれたのか。 元巨人の育成選手で、現在、日本リアライズ株式会社のアスリート・セカンドキャリア・サポート(ASS)事業部で、引退後のプロ野球選手の一般企業へのマッチングや、就職に関する情報提供、教育などをサポートしている川口寛人・課長(30)は、「1位の高校野球監督の指導者も、学生野球の資格回復研修を受ければ可能になり、間口が大きく広がりましたが、実際は、受け入れ先がほとんどないのです。ここ数年、貯金を切り崩してまで、飲食店経営に乗り出すという傾向も減りました。失敗例が多く伝わり、安易な行動を避けている人が少なくありません。これらの現状を知ったことも会社員希望が増えたことにつながったのではないでしょうか。またプロ野球選手会が、ソフトバンクと組んで企業就職を支援する事業をスタートしています。各球団の選手会だけでなく、ネットやメディアなどを通じ、一般企業への就職を積極的に薦めていますが、そういう動きも関係しているのではないでしょうか。今の若い選手は、ネットで、そういう情報をどんどん収集しますからね」と見ている。 ソフトバンク系のSBヒューマンキャピタル株式会社が、プロ野球選手会と組んで「イーキャリア・ネクストフィールド」というセカンドキャリアを支援するマッチング人材事業を2014年12月から始めた。対象は、プロ野球を引退後5年以内、転職回数2回以内の元選手だが、すでに就職先として1000社近くの企業が登録されている。これまでは、一般企業への再就職と言えば、現役時代に培ったツテや、コーチや先輩、後援者の紹介によるものがほとんどで、一般企業の就職先としても生命保険会社や不動産業に偏っていた。 だが、「イーキャリア」や、日本リアライズ以外にも、数社がプロ野球選手の再就職事業に参入するようになり一般企業への再就職の環境が徐々に整いつつある。そういう動きも「一般企業の会社員」をセカンドキャリアの進路先として希望する選手が増えた原因のひとつかもしれない。