派兵でウクライナ戦争に学んだ北朝鮮、今は核より各種無人機開発に熱中
■ 5.現在の無人機は張子の虎 北朝鮮の現在の無人機のレベルは、次の4点を総合して考えた場合、プログラム通りに飛行する能力はあるものの、徘徊型自爆無人機を製造できるレベルには至ってはいないと考えられる。 (1)10年前の北朝鮮無人機の能力。 (2)2023年7月に軍事パレードに登場した米国製に酷似した無人機は形だけの「張子の虎」であったこと。 (3)ロシア製の徘徊型自爆無人機の実験を最近始めたこと。 (4)平壌に自作自演で飛ばした無人機の能力。 今後、北朝鮮はロシア製の徘徊型自爆無人機ZALA ランセットの技術を参考にして部品の提供を受けて製造し、実験飛行を重ねていくだろう。 そうすれば、徘徊型の自爆無人機の大量生産が可能になる。 その時期は、1年以内というのは無理であろうが、3年もすれば可能になるだろう。そして、ロシアに供給するようになる。 シャヘド無人機は、長距離飛行を行い重要施設を破壊するためのものだ。 ZALA ランセットは、徘徊が可能であるが飛行速度は2倍遅く、爆薬の重量もシャヘドの10分の1以下であり、両軍が直接戦う戦場(数10キロの範囲)で使用されるものだ。 北朝鮮は当面、徘徊型の自爆無人機を大量に生産して、ロシアに供給することになるだろう。 そうなると、北朝鮮はウクライナ戦争にますます深く関わることになる。 将来の朝鮮半島有事を考えると、航続距離と性能から、主に両軍が戦う戦場で使用されることになる。 したがって、北朝鮮から日本海を越えて日本の領土に直接飛行してくる可能性は低い。 だが、貨物船や潜水艇に搭載して、日本に近い位置で発射すれば、日本にも重大な脅威となる可能性は十分ある。
西村 金一