派兵でウクライナ戦争に学んだ北朝鮮、今は核より各種無人機開発に熱中
■ 3.変更された北朝鮮の無人機戦略 2024年8月、金正恩総書記は無人機試験を視察する場で、戦略偵察および多目的攻撃型無人機だけでなく、歩兵および特殊部隊が戦術的に利用できる各種の自爆型無人機を多く開発・生産すべきであると述べた。 前年7月の金正恩総書記とショイグ国防相の情報交換の成果を踏まえて確立した無人機に関しての北朝鮮の方針と考えてよい。 その試験の場に登場したのが、無人機にモザイクがかけられてはいるものの、ロシア製の無人攻撃「ZALA ランセット」、イスラエル製の無人攻撃機「IAI ハロップ」に酷似したものだった。 および、詳細不明の小型で胴体が太い無人機(飛行の可能性があるのか疑問)である。 ロシア製とイスラエル製のものは、徘徊型自爆無人機である。 写真4 イスラエルとロシア製に似た北朝鮮の無人機 その後、同年11月には、金正恩総書記は無人機試験の視察を行い、次のように強調した。 「無人機について革新的な技術を導入して、軍事力の主要手段に利用すること」 「無人機は、生産工程が単純で生産コストが少ないものであること」 「一日も早くロット生産システムを構築して本格的な量産に入ること」 この2つの時期では、写真に登場するすべての無人機に、モザイクがかけられていた。 特に、11月のモザイクは濃くかけられていた。 なぜ、これまでの無人機にはモザイクがかけられていないのに、今回の無人機にモザイクをかけるのか。 その理由は、ロシア製やイスラエル製の無人機の機能を有する無人機を製造することを隠したかったからだろう。 北朝鮮としては、ロシア製やイスラエル製の技術を導入した徘徊型自爆無人機を製造したいと思っている。 開発を急がせているのは、ロシアの要求によって、ウクライナ戦争に間に合わせたい希望があるからだろう。
■ 4.徘徊型自爆無人機を製造できるのか 北朝鮮の金与正・党副部長は2024年10月19日、平壌で韓国軍が運用するドローンと同一機種の無人機を発見したと発表した。 韓国が北朝鮮の平壌に無人機を飛行させて、ビラを散布したという。 北朝鮮報道官は、平壌に墜落した無人機を完全に分解し、飛行操縦プログラムを分析した結果、「10月8日23時25分に韓国の白翎島を離陸し、我が共和国の領空を侵犯した。黄海上を飛行後、針路を変更し南浦市を経て、首都上空に侵入したことが分かった」と明らかにした。 写真5 左:平壌に落下したという無人機、右:無人機の飛行経路 北朝鮮が発表した写真5の無人機は、どう見ても北朝鮮が作ったとしか思えない特色がある。 私は、このステルス機でない無人機が、以下の理由で北朝鮮の自作自演と考えている。 (1)レーダーに捕捉、撃墜されず、海上を長時間飛行できたという不自然さ。 (2)無人機の頭部には、中国製「SKY-09」と同じ位置に同じ形のアンテナがある。