代表でのアピール不足に欧州市場価値が約2億円ダウン…”崖っぷち”の久保建英が考える巻き返しプランとは?
自分もアピールしなければ、と前のめりになりすぎたメンタルに独りよがりな強引さも加わったプレーは必然的に空回りし続ける。ピッチに立った森保ジャパンの攻撃陣でただ一人、放ったシュート数が0本で試合終了を迎えてしまった。 デビュー直後は歴代最年少ゴール更新も期待された代表での成績は、出場16試合でゴールもアシストもない。伸び悩んでいる、と映る久保に市場も敏感に反応する。 能力や最新シーズンを含めた実績、年齢などを総合的に評価し、移籍マーケットにおける価値を算出する移籍専門サイトとして知られるドイツの『transfermarkt』は3日、ラ・リーガでプレーする選手の最新市場価格を更新。久保は前回3月の900万ユーロ(約12億6200万円)から750万ユーロ(約10億5200万円)へ値を下げた。 ラ・リーガ2部に降格したマジョルカで存在感を放ち、評価を一気に高めた2年前は3000万ユーロ(約42億800万円)だった。2度目の期限付き移籍を出場28試合、わずか1ゴールで終えたのだから市場価格が暴落してしまったのも無理はない。 もっとも、すべてを偽らざる現実として、客観的に受け止めた久保は「次は一から割り切ってできる。もう焦ることもない」と捲土重来を期している。 「サッカーそのものは上手くなっていると思う。肉体改造(の成果)も目に見えて出てきている、とよく言われる。元からの自分のスタイルと融合させていきたい」 リハビリ期間中から取り組んできた肉体改造をさらに進めて、現時点の「上手いだけの選手」から「上手いだけでなく強く、怖い選手」へ自らを変貌させる。その視線はヨーロッパで4シーズン目を迎える戦いにも、もちろん向けられている。 2024年6月末まで契約を結ぶヨーロッパ王者、レアル・マドリードにはおそらく来シーズンも復帰できない。期限付き移籍を継続させるなかで、久保はカタールワールドカップとリンクさせながら新天地を決める青写真もすでに思い描いている。 「ワールドカップもあって次のシーズンはイレギュラーになる。まずはワールドカップを経験できるように、上を目指していくチームになりつつある日本代表の一員になれるようにこれからの5ヵ月間を頑張り、ワールドカップ後の半年間を大事にしていく。そういったことも加味して、視野を幅広く持ちながらいいチームを探していきたい。このままポンとステップアップしてレギュラーになれば、代表での立ち位置も変わるので」 自らの現在地は認めても、自信と強気が配置された思考回路は変わらない。国立競技場にFIFAランキング1位のブラジルを迎える6日の一戦でも、先発のチャンスはおそらく巡ってこない。それでも「感覚だけは研ぎ澄ませておく」と久保はこう続けた。 「僕としては、日本代表の一員としてここまで格上のチームと対戦するのは初めてなのでワクワクしますね。南米チームは苦手ではないし、どちらかと言えば次の(アフリカの)ガーナ代表戦の方が苦手かなと。ワールドカップにはサプライズがあって当然だし、ここからは自分がいい意味でサプライズになれればと思っている。3ヵ月もあれば人は変われるので、チャンスを虎視眈々と狙っていきたい」 そのブラジルは2日にソウルで行われた一戦で、韓国代表を5-1で一蹴した。これまでに10勝2分け、得点34に対して失点5と日本を圧倒しているサッカー王国の最新映像を見た久保は「世界1位のチームの調子がいいと、こういう試合になるという感じですね」とさらに胸をときめかせながら、逆襲への第一歩になる出番を待つ。 (文責・藤江直人/スポーツライター)