代表でのアピール不足に欧州市場価値が約2億円ダウン…”崖っぷち”の久保建英が考える巻き返しプランとは?
ハーフタイムに自ら交代を申し出た久保が治療とリハビリをへて、リーグ戦で復帰を果たしたのは11月27日だった。プロになって初めて経験した戦線離脱。しかも、この間に4試合を戦った森保ジャパンでは4-3-3へのシステム変更とともにトップ下がなくなり、右ウイングやインサイドハーフでも序列ができあがっていた。 レアル・マドリード戦への強行出場を、後悔はしていないと久保は言う。 「クラブで欲張って試合に出て怪我をした。同じ状況でもう一度試合があればもちろん出るけど、代表で手応えを感じていた矢先に、誰も悪くない形で代表でのチャンスをふいにしてしまったのはもったいなかった。怪我をしてからはあまり上手くいっていないし、悪い意味でのターニングポイントになってしまった。一度つかんだものを手放すのが、こんなにも苦しいのかと。そう思ったところで仕方ないんですけど」 復帰後のマジョルカではコンスタントに先発した。しかし、残留争いに巻き込まれた3月下旬に就任した、かつて日本代表を指揮したハビエル・アギーレ新監督のもとでベンチスタートが急増。残留を決めたオサスナとの最終節は出番なしに終わった。 久保の才能を認めながら、アギーレ監督は「ひとついいプレーをしたかと思うと、10分も消えてしまう」と苦言を呈した。マジョルカでの立ち位置の変化を受けて、森保監督も「タケが成長するために、ひと皮むけないといけない時期」と言及した。 迎えた2日のパラグアイ戦。森保監督が発した「ひと皮――」の真意を、先発メンバーの顔ぶれを介して久保は理解した。 カタールワールドカップへ向けたサバイバルの火ぶたが切られる一戦。アジア最終予選で出場機会を得られなかった選手たちが数多く札幌ドームのピッチに立ったなかで、自身はベンチスタートだった。 しかも右ウイングで堂安律(23、PSV)が、インサイドハーフでは原口元気(31、ウニオン・ベルリン)、そして鎌田が躍動する。3-1でリードしていた後半26分。堂安に代わって投入される際の心境を、久保は「焦りが生まれていた」と振り返った。 「代表に帰ってきて、いったんフラットな状態になった1試合目で、正直、自分の立ち位置というものを嫌でも教えられた気がした。それは認めざるをえない。所属チームで試合に出ていないときでも、どこか冷静に出番を待っている自分がいた。ただ、この前(のパラグアイ戦)はいろいろ考えるところがあって、上手く試合に入れなかった」