革靴はもはや“絶滅危惧種”。なくなる前に買っておきたい「2つの名品」
革靴は履きつぶして終わりの時代に
本来的には、足にフィットした本格革靴は長距離歩行が可能で、足が痛くなるなんてこともありません。しかし、その奇跡の1足に出合うまでに、出費と失敗が必要です。いまどきそんな余裕のある方は靴が趣味のマニアだけなのです。 本格靴の代表的なつくりに「グッドイヤーウェルテッド製法」というものがあり、何回でも底を取りかえることができます。しかし、「一度も底の張替えをしないまま買い替えられるケースが9割以上」とは、ある本格革靴店のショップスタッフの一言。なぜなら、靴底交換も値上がりが激しく、2万円の出費が必要だからです。スニーカーであれば新品が1~2足は買えてしまいます。カカトの交換だけでも今は3000~4000円。 たしかに革靴はメンテナンスをして、修理をしながら履けば10年はもちます。残念ながら、そこまでの経済的な余裕も愛着もない人が圧倒的に多くなりました。よほどの革靴マニアでなければ、GUやネットで売られている簡易的な革靴を数千円で買って、履きつぶすほうが現実的なのです。
いつか消える前に手に入れたい名品。トリッカーズとリーガルの至高の一足
そこで、いつかなくなってしまうであろう本格革靴として、ぜひ手に入れてほしい靴があります。まずは英国トリッカーズの「ストウ」。通称カントリーブーツです。定価は13万2000円ですが、楽天などの並行輸入であれば同じものがまだ5万円ちょっとで買えます。 私も20代から愛用しており、現在は2代目を10年以上履いています。優雅でありながら、とにかくタフの一言。このモデルがきっかけで靴職人になり、革靴の世界にのめりこむ方も本当に多い。通称が「カントリー」という名の通り、本来は泥の田舎道(カントリーサイド)を歩くための靴です。履いてなじむまで半年ほどはかかりますが、馴染んでしまえば年を追うごとに風貌が化けていきます。ケアさえすれば雨も雪も関係ありません。トリッカーズの職人から聞いたところによると、なぜか本国イギリスでは人気がなく、イタリアと日本が主な販売先というのが面白いところです。