「検察に裁判所が『忖度』したのでは」 「検察なめんな」約18時間の冤罪事件『恫喝』取り調べ映像 「文字起こしでわかるので48分間で足りる」とした高裁 最高裁が覆し逆転勝訴 国賠訴訟で証拠になるまで2年半 誰のために録画するのか【プレサンス元社長冤罪事件】
■「ひどい取り調べ映像が公開されると有罪率99.9%を追認する裁判所も批判されると考えたのかもしれない」と元検事の弁護士
【中村弁護士】「こういうひどい取り調べが公開されると全部こういう取り調べなんじゃないかと思われる。有罪率99.9%だからそれを追認している裁判所まで批判されるんじゃないかと。そんなことを考えたんじゃないか。邪推かもしれないがそう思っています」 続けて、多くの無罪判決を獲得してきた秋田真志弁護士も、高裁決定を出した裁判官の真意に疑問の目を向けた。
■「高裁決定は検察庁に対する忖度があったのではないか」と弁護士
【秋田真志弁護士】「あってはならないことだが、高裁決定は検察庁に対する忖度があったのではないかという気が本当にしています。(取り調べの)実態を見極めるということをどう思っているのか。高裁決定に関与した裁判官には反省してもらいたい」 ここまで時間がかかった背景には、もう一つ理由がある。 実は、取り調べ映像は提訴の時点で山岸さんの弁護団の手元にあった。 なのに、これを裁判で証拠として提出しなかった。正確に言うと、法律上できなかった。 なぜできないのか。
■実は弁護団の手元にあった「取り調べ映像」 法律の壁『民事』では証拠提出できず
それは、刑事訴訟法に、検察官の開示証拠は刑事裁判以外には使用できないという規定があるからだ。 検察官の証拠開示の範囲を拡げる法改正(2004年)の際に、証拠の中に含まれる関係者のプライバシー等の侵害を防ごうと一律に使用が禁じられている。 山岸さんが国を訴えている裁判は、民事訴訟(いわゆる国賠訴訟)である。 刑事裁判ではない。 弁護士は刑事裁判で開示された取り調べ映像を証拠として提出できないというわけだ。
■刑事裁判で開示された取り調べ映像 「取り調べが違法」と国を訴えた民事裁判で証拠提出できない『もどかしさ』
しかし、山岸さんの立場に立つといかにも『隔靴掻痒(かっかそうよう)※』の感が否めない。(※靴の上から足のかゆい所をかくように、もどかしいこと) 自分自身の刑事裁判で開示された取り調べ映像を、取り調べが違法だとして国を訴えた民事裁判で証拠として出せないのだ。 そもそも、取調べの録画はなんのために行われているのか。 捜査機関が行き過ぎた取調べをしていないか事後的にチェックするためだとすれば、今回のような裁判でさえ証拠とすることを一律に禁止したままで良いのだろうか。