「検察に裁判所が『忖度』したのでは」 「検察なめんな」約18時間の冤罪事件『恫喝』取り調べ映像 「文字起こしでわかるので48分間で足りる」とした高裁 最高裁が覆し逆転勝訴 国賠訴訟で証拠になるまで2年半 誰のために録画するのか【プレサンス元社長冤罪事件】
■逆転勝訴 最高裁は『約17時間』の映像提出命じる
17日、山岸さんの代理人である中村弁護士のもとに最高裁から封書が届いた。 入っていたのは、最高裁の決定書だった。 新たに約17時間分の映像を提出するよう国に命じる内容。 『逆転勝訴』だった。 【中村和洋弁護士】「画期的な判断で大変素晴らしい決定だと思っております。他方で、いわば当然の決定だとも思っています」 17日午後6時半に始まった会見の冒頭、中村弁護士が安堵の表情を浮かべた。
■モザイク処理などの配慮を条件に映像の提出に『同意』していた元部下
最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は、映像は反訳や法廷での証言と比べて格段に多くの情報を含んでおり、正確性もあると認定。 さらに、元部下のプライバシー侵害のおそれも(映像の提出を認めない)理由にはならないと指摘。 そもそも元部下はモザイク処理などの配慮があれば映像の提出に同意していた。 高裁が理由としてあげていたプライバシー侵害の「弊害が発生するおそれはない」と判断した。 かくして、問題部分が録画された取り調べ映像も裁判の証拠となり、市民の目にも届くことになった。
■提訴から2年半 高裁の決定により遅れた「問題部分を含む」取り調べ映像の証拠提出
すでに山岸さんの提訴から2年半が経っていた。 証拠として提出されるまでにかかった時間の長さに、中村和洋弁護士も苦言を述べるのを忘れなかった。 【中村弁護士】「取り調べの違法が問題になっており、それを検証するための録音録画があるのですから、証拠として認められるのは当たり前のこと。当たり前のことにここまでの手間と時間がかかったことには課題が残っていると思っています」 ここまで時間がかかった理由の一つは、大阪高裁の決定だ。 取調べが違法かどうか争われる裁判で、その取調べが録画された映像を、「証拠にしなくていい。文字起こしがあるんだから、映像は見なくて良い」。そういう判断だった。 裁判は客観的な証拠に基づいて行われるものではなかったのか。 そんな疑問さえ浮かんでくるような高裁決定。 こうした決定がなぜ生まれたのか。元検事でもある中村弁護士に聞いた。