【クイーンS】武豊騎手の本気に期待、本命候補はボンドガール 穴馬コンクシェルは逃げ切る公算あり
内と前が有利になる展開を想定
札幌はJRA全競馬場の中でもっともコーナーの距離が長いコース。コーナーで外を回ると距離損が大きくなる上に、札幌芝1800mは最初のコーナー(1角)までの距離が185mと極めて短く、外枠の馬はスタートも二の脚も速くないと初角の時点で外を回ることになるため、ロスなく立ち回れる内枠有利なコースとなっている。クイーンSも例に漏れず、過去10年で1~2番枠は【5-3-5-7】と好成績だ。 【アイビスSD2024 推奨馬】単回率111%&複勝率55%超え!3つの好データを持つ! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) ただ札幌芝は開幕週の先週でも外差しが決まっていたように、例年よりもやや時計が掛かっており、極端に内が有利ではない。今回はコンクシェル、ウインピクシス、ラリュエルと逃げ馬が揃っており、展開次第では外差しが決まる可能性もある。 しかし、コンクシェルは横山武史騎手、ウインピクシスは横山和生騎手。この兄弟が競り合う展開はとてもイメージしにくい。ウインピクシスのほうがテンは速いが、内のコンクシェルを行かせてそこまでペースが上がらず、内と前が有利になるパターンと予想する。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位 ウンブライル】 2歳時に新馬戦、もみじSを連勝。3歳になってからは時計が掛かる馬場で行われたニュージーランドTとNHKマイルCで2着に善戦し、同世代の中では実力上位であることを示していた。そこから骨折休養後の復帰初戦となった今年2月の東京新聞杯では大幅馬体増で出走。レースは9番枠から立ち遅れて後方から中団中目まで挽回するロスや、3~4角で包まれて最後の直線で前が壁になった影響から、チグハグな競馬で能力を出し切れなかった。 結果的に始動戦で無理をしなかったこともあって、次走の阪神牝馬Sでは体調面が大幅に良化し、体も絞れて2着と好走。同レースでも9番枠からやや出遅れたが、ここでは無理なく中団の外目を追走した。直線序盤で追われると2列目付近まで上がり、ラスト1Fでもしぶとく伸びて先に抜け出したマスクトディーヴァに半馬身差まで迫った。 前走のヴィクトリアマイルは、前々走で自己最高指数を記録と能力を出し切っていたため、お釣りがなく6着に敗れた。しかし、5番枠からやや出遅れ、かなり押して好位の中目を取る競馬ながら大崩れしなかった。今回は立て直されての前進が期待できる。 序盤でやや置かれ気味になることや後半で長くいい脚を使うことから、距離が長くなるのも好ましい。内枠でもあり、時計の掛かる馬場でも実績があることから、雨が降ればよりいいだろう。逃げ馬が揃ったここでペースが上がり差し有利の展開になると見るなら本命候補。ただ、個人的には前有利と見ているだけに、3番手くらいの評価に止めたい。 【能力値2位 ドゥアイズ】 札幌芝1800mの新馬戦でデビューし、そこから阪神JF3着を含めてデビューから5戦までは全て3着以内に善戦。桜花賞でも5着と健闘したが、オークス、秋華賞と距離が延びると崩れた。古馬になってマイル路線を使われ始めて再浮上し、3走前の洛陽Sでは自己最高指数を記録した。 洛陽Sは15番枠から五分のスタート。そこから促されて好位の外目を追走していたが、前2頭が飛ばす展開になり、最終的には中団外目を追走した。3~4角で前2頭が苦しくなってペースダウンすると2列目以降が徐々に前との差を詰めた。本馬はそこでワンテンポ待ち、4角出口で仕掛けて外に誘導した。直線序盤で追われてしぶとく伸び、ラスト1Fで先頭に。そのまま抜け出すと、大外から猛追するトランキリテを振り切って半馬身差で勝利した。 前へ行った2頭がシンガリとブービーに敗れ、トランキリテが大外一気で2着に浮上したことからもわかるように、かなりのハイペース。また最後の直線で外に出せば出すほど伸びる時計の掛かる馬場状態だった。つまり、2、3着馬ほどではないが、展開に恵まれての勝利だった。 前走のヴィクトリアマイルでも4着に善戦しているが、ここもややハイペースで外差し有利の馬場状態。ラスト1F手前でウンブライルが強引に進路をこじ開けた影響で外に弾かれるロスはあったが、おおむね上手く立ち回れており、ワンパンチ不足を露呈してしまった。 1800mは守備範囲だが、内有利の札幌芝1800mで13番枠というのはいい条件ではない。かなりのスローペースの阪神牝馬Sでも出遅れて後方からの追走になりながら5着に善戦したように、展開に恵まれなくても掲示板入りを果たす可能性は高い。しかし、展開に恵まれたとしても武器がないので3着、良くて2着くらいで終わってしまうのではと見ている。 【能力値3位 モリアーナ】 昨年の紫苑S覇者。同レースでは2番枠からまずまずのスタートだったが、二の脚がひと息で最後方まで下げた。逃げ馬がペースを引き上げたことで隊列が縦長となり、道中では後方2列目付近。3角では前にいた馬たちが苦しくなり下がってきた。コーナーの途中で内目から中目へ縫うように上がったが、直線序盤でもまだ中団列。ラスト1Fでも先頭と6馬身ほどの差があったが、そこから一気に詰め切って半馬身差で差し切った。このラスト1Fの伸びは非凡で、かなりインパクトがあった。 昨年のNHKマイルC以来のマイル戦となった前々走の阪神牝馬Sでは3着。6番枠から出遅れ、押して行ったが最後方に下がってしまった。4角で前が壁になる場面もあったが、外の進路を確保して追われると、そこからしぶとく伸びて3列目付近まで上がった。ラスト1Fで2着ウンブライルとの差は詰め切れなかったが、シングザットソングとの3着争いはハナ差で制した。 前走のヴィクトリアマイルは13番枠から出遅れて7着に敗れた。着差は0.5秒差で前々走の阪神牝馬Sと比較すると、さほど指数を下げていないが、前走のような緩みない流れのマイル戦は追走に忙しく、前に取り付くことに苦労している。 今回は1800m戦。前走から1Fでも距離が長くなるのはプラス。ただポジションを取りに行った阪神JFでは着順を落としているように、後方で脚を温存してこそのタイプ。後方で脚をタメて、紫苑S時のように展開に恵まれればチャンスがある。 【能力値4位 アルジーヌ】 休養明けの前走で準オープンの博多Sを勝利した上がり馬。前走は12番枠から五分のスタートを決め、中団馬群の後方の外を追走した。向正面で中団馬群の前の外まで上がって3角へ。3~4角から進出して4頭分外から一気に先頭。直線序盤でしぶとく伸び、最後は1馬身3/4差で完勝した。 前走は馬体重24kg増が示すように、休養中に成長していたようでまさに一変といったレースぶり。勝ちに行く競馬での勝利であり、かなり強い内容だった。今回は休養明け好走後のダメージが懸念される一戦であるが、前走は前々走で減った馬体を戻した分もあるにせよ、緩さを残していたのも確か。体が絞れてまた前進という可能性もあるが、絞れていないようなら評価を下げたい。 【能力値5位 スタニングローズ】 中京芝1400mの新馬戦でデビューし、しばらくマイル路線を使われていたが、一昨年のオークスでは10番人気2着と好走。同年秋の始動戦、紫苑Sを勝利すると、秋華賞ではスターズオンアースの牝馬三冠を阻んで戴冠した。このように中距離路線で素質が開花した馬だ。 本馬が自己最高指数を記録したのは、一昨年の秋華賞。7番枠からまずまずのスタートだったが、コントロールして好位直後の中目を追走。道中で前にスペースを作り内と外を両睨みで進め、3~4角でそのスペースを詰めて4角では外を選択し直線へ。直線序盤で追い出されると先頭付近まで上がり、ラスト1Fで抜け出した。内からスターズオンアース、外からナミュールに迫られたが振り切って半馬身差で勝利した。 二年連続で出走したヴィクトリアマイルはどちらも見せ場がなかったが、長期休養明けの復帰戦となった前々走の大阪杯は意外と悪くない内容だった。 大阪杯は5番枠から外のベラジオオペラを制してハナを主張したことで、終始ベラジオオペラにプレッシャーをかけられる苦しい競馬で8着に敗れた。ただ、これまで逃げたことがない馬が逃げるというのは、例えスローペースでも厳しいもの。その上、スタミナが不足しがちな休養明けでは、仕方のない結果だったと言える。 今シーズンの調子は悪くなさそうだが、今回のメンバーで外目の枠、さらに斤量51~57kgと差があるなかで、もっとも重い斤量を背負うとなると楽に先行できない可能性が高い。その点は評価を下げるが、前走から1Fでも距離が長くなる点は好ましく、必ず買いたい馬ではある。