楽天に3連敗した”満身創痍”の西武・辻監督が嘆く「ウチは力のない状態に…」
ベンチからはつけいる隙があるように映りながら、終わってみれば7回を91球で零封された瀧中のピッチングを、辻監督は苦笑いしながらこう振り返った。ストレートの最速は140km台の中盤ながら、100km前後のカーブで緩急をつけ、さらにスライダーやフォークなど多彩な変化球を駆使して打たせて取る。ただ、立ち上がりは生命線となる変化球のコントロールがやや乱れていた。 「だからちょっと苦しんだと思うけど、それでもやっぱりヒットが出なかった、というところで、徐々に変化球もストライクが入り出して、立ち直ってきたんじゃないかな。最後はちょっと工夫があったけど、最初からそれが(できていれば)。もちろん、今度はやっつけます。しっかりと対策を練って」 金子侑司と源田壮亮の1・2番を含めた上位打線の奮起を促した辻監督だが、収穫がなかったわけではない。一軍初登板&初先発のマウンドへ送り出した2年目の右腕、20歳の上間永遠(うえま・とわ)へ、敗戦投手になったとはいえ指揮官は「素晴らしいピッチングでした」と目を細めている。 「もっと緊張して、最初はバタバタするかなと思ったけど。ホームランを打たれはしたけど、素晴らしい闘志を見せてくれたし、また使えるな、という印象は受けました。これだけのピッチングをしたら、使わないわけにはいかないでしょう」 初回をわずか11球で三者凡退に抑えた上間は、2回一死から好調の茂木栄五郎にスライダーをバックスクリーンへ運ばれた。それでも動揺の素振りすら見せず、次の打席では茂木を空振り三振に斬ってリベンジを果たしてみせた。ヒットで出塁した2番・小深田大翔を一塁へのけん制でアウトにした4回表のマウンドを含めて、貫き通した攻撃的な姿勢が及第点につながったのだろう。 6回表に先頭の辰己涼介に一発を浴び、小深田、一死後に4番の浅村栄斗にヒットを許した場面で降板。2番手の左腕・佐野泰雄が茂木に左越え二塁打を浴び、自責点は「4」となったが、柳ヶ浦高から独立リーグの徳島をへて、2019年のドラフト7位で加わった上間への評価は変わらない。 ストレートのマックスは140km台の中盤ながら、度胸満点で、なおかつ小気味いいピッチングで5つの三振を奪った上間への賛辞を、辻監督は最後まで惜しまなかった。