元気なうちに知っておきたい「認知症の方向け介護施設選び」にはコツがあった
累計188万部の大人気シリーズ『おとなの週刊現代』が大幅リニューアル!週刊現代で大反響だった記事の中から、相続や在宅介護など、「死後の手続きと生前準備」にまつわる記事を、加筆のうえ、ピックアップ。 【マンガを読む】オペ室看護師が見た、衝撃の「生死の現場」 〈第1部 知らないと損する死後の手続きの新常識〉、〈第2部 今日から始める生前準備のすべて〉、〈第3部 身の回りの整理整頓。人生の最期を考える〉の三部構成からなる『おとなの週刊現代 2024 vol.4 死後の手続きと生前準備』 (講談社MOOK) より一部抜粋・再編集して、人生の最期で失敗しないためのノウハウをお届けする。 『「安心して穏やかにボケる」そのために「家族信託」と財産管理の秘策として使う方法』より続く
認知症生活の「流れ」
自分が認知症になってしまった。そのとき家族が戸惑うのは、「これから家族として生活をどう設計すればいいのか」、そして「本人はどこで暮らしたいのか」という点だ。かつて自身も認知症の親を在宅で介護していた社会福祉士の渋澤和世氏が言う。 「認知症への備えをするとき『どんな生活をしたいのか』について家族に伝えておくことはとても重要です。とくに誰に介護してほしいのか、自宅で過ごしたいのか、施設でもいいのかについては早めに伝えたほうがいいでしょう」 では、認知症になったあとの生活をどう考えればいいのか。そして、施設はどのように選べばいいのか。
数多くある認知症の人向けの介護施設
認知症の人が入れる施設は主に3種類。「特別養護老人ホーム(特養)」「介護付き有料老人ホーム」「グループホーム」だ。 「特養は要介護3から入れる公的施設です。個室か4人部屋かにもよりますが、月額の相場は10万~15万円ほどと基本的に負担は軽い。しかしその分、人気で順番待ちになりがち。グループホームは認知症の人専用の施設です。5~9人の定員が複数の居室と台所などを含む『ユニット』で共同生活をする形態で、料金は15万~20万円ほどとリーズナブル。しかし、グループホームがある市町村の住民しか利用できない。自分が住む自治体にあるかどうかを調べておくといいでしょう。 介護付き有料老人ホームは、料金が高いところから安いところまでピンキリ。ここがもっとも現実的です。自分の年金の額、貯蓄をもとに入れる場所を見積もっておきましょう」(渋澤氏) 介護付き有料老人ホームの「料金」の考え方については、老人ホームの紹介事業を運営する「介護ぷらす」代表の山川仁氏がこう解説する。 「地域によっても料金はピンキリなので、元気なうちにやるべきはお住まいの地域にある施設の料金の『相場観』を身につけておくこと。相場に合わせて、おカネを準備しておけば安心です。お住まいの地域では入れそうな料金の有料老人ホームがなく、特養も待ち時間が長そうだとなれば、少し離れた地域の施設を探しておくのも手です。東京から千葉へ……といった具合に、少し離れれば手頃な施設が見つかることもある」