放置すると「命が縮む」可能性も…!じつは怖い50代からの「自律神経の衰え」を改善する、もっともシンプルな方法
自律神経は加齢で変化する
一方で自律神経は老化していくことも事実です。我々の研究データでは、男性は30代以降、女性は40代以降に副交感神経が十年で15%ずつ低下し、自律神経のトータルパワーが低下していきます。 男性が30代から、女性が40代から、と十年の差があります。「老化」を自律神経の視点から読み解くのはまだ一般的ではないかもしれませんが、私は自律神経こそ「老化」に大きく影響しており、この男女の十年の差こそ、そのまま平均寿命の差につながっていると考えています。 トータルパワーとは、交感神経と副交感神経を合わせた「自律神経全体の活動量」を示す総合力のことで「体の疲労度」を示す指標としても用いられます。それが、50代になると20代の3分の1ほどになってしまうのです。歳を重ねるにつれて疲れやすくなるのは数字の上でも当たり前といえるわけです。 では、どうすればよいのか。それはやはり、乱れがちな自律神経を整えることが一番です。特に大切なのは、年齢による下降が顕著な副交感神経の働きを高めること。そのために具体的にできることは、自律神経が整う「習慣」を取り入れることです。 私自身が60代になって見えてきたことは、50代と60代では、肉体的・精神的な衰えの深刻さはまったく異なるということです。50歳はまだまだ序の口。個人差や、徐々に衰える時間を考慮に入れると、遅くとも55歳。 この年代で自律神経が整う「習慣」を身に付ければ、集中力や判断力の衰え、疲れやすさはもちろん、免疫力低下、血流低下などに伴う病気の発症を食い止め、老化も遅らせることができるということです。 対策をとるかとらないか、つまりは「習慣」を変えるか変えないかで、見た目も体力も、気持ちの若々しさまでも、ぐんと差が開いていくのです。もうその年代を過ぎてしまった、という方こそ、今すぐはじめてください。いつからはじめても遅くはありません。気づいたときが「はじめどき」です。 …つづく<じつは怖い…50代からどんどん老いていく「自律神経」、もっとも危ない「2つのサイン」の見抜き方>では、自律神経の衰えが体に与える影響を4つのパターンから解説しています。
小林 弘幸(順天堂大学医学部教授・日本スポーツ協会公認スポーツドクター)