CLO(物流統括管理者)とはどんな役職? 荷主のほぼ5割が対象、2026年に選任義務化
世の中の半数程度の荷主企業らに対して、CLO選任が義務化される。CLOとは、Chief Logistics Officer(チーフ・ロジスティクス・オフィサー)の略で、物流の見地から企業の営利活動を最適化する役員相当を指す。物流統括管理者、最高ロジスティクス責任者、最高物流責任者とも訳される。物流総合効率化法(物効法)の一環で、CLO選任義務化は2026年春から施行される予定だ。だが、CLOはもともと高度物流人材として議論されてきた職務であり、求められるスキルレベルは極めて高い。ほとんどの企業では適任者選びに頭を悩ませることになるだろう。そこで本稿では、CLOを理解するために必要な3つのポイントを解説する。 【詳細な図や写真】【Excel】5秒でわかるCLO=物流統括管理者(ここをクリックするとExcel資料のダウンロードページに移動します)
ポイント1:CLOとは「物流統括管理者」
新物効法では、規定以上の貨物輸送を行っている荷主と連鎖化事業者に対し、物流統括管理者の選任を義務付けている(以下の補足を参照)。 ・「規定以上」とは「年間9万トン」となる予定。平日のみ輸送を行っている場合、大型トラック換算で、日々約36台以上のトラック輸送を行っている事業者が対象となる。 ・「規定以上」の貨物輸送を行っている荷主と連鎖化事業者を、それぞれ特定荷主、特定連鎖化事業者と呼称し、物流統括管理者の選任を義務付ける。 ・連鎖化事業者とは、コンビニエンスストアチェーンなど、フランチャイズ事業を営む本部を指す。 2024年5月に新物効法が公布され、物流統括管理者の選任義務化が判明してから、「物流統括管理者とは、イコールCLOなのか?」という議論が生じた。 筆者自身も、7月に上梓した「物流関連2法とは何か、改正内容を『6つのポイント』でわかりやすく解説」において、「CLOを、今回(物流関連2法)の改正に登場する『物流統括管理者』と訳し、混同しているケースが頻発しているが、これは別物だろう」と書いた。 国土交通省・経済産業省・農林水産省が、2024年9月26日に「合同会議取りまとめ案」(以下、取りまとめ案)を発表した。これは、5月に公布された物効法について、後々省令等で規定されることになる具体的な取り決め内容を議論したものである。 この取りまとめ案では、「新物効法第47条及び第66条では、特定事業者のうち特定荷主及び特定連鎖化事業者に物流統括管理者(CLO)の選任を義務付けている」とはっきりと記載されている。 つまり政府としては、「物流統括管理者=CLO」は既定路線ということだろう。