ユニクロの「ヒートテック」を全解剖!極暖、超極暖、カシミヤ混極暖との違いとは?
ヒートテックの暖かさの秘密
ー薄手で軽いのに、なぜ、こんなに暖かいんでしょう? 簡単に説明すると、ヒートテックは、体から発散した水蒸気を吸収して発熱し、繊維と繊維の間にある空気の層にその熱をためることで保温性を高めています。
ー体から発散される水蒸気を利用しているんですね。 体から発せられた水分が気体になると、水分子が肌とヒートテックの間を激しく動き回ります。その水分子を吸湿性に優れたレーヨン繊維が吸着するのですが、そのとき、水分子の運動エネルギーが熱エネルギーに変換されることで熱が発生します。
ーすごい仕組みです。ただ、その暖かさをどうやって持続させるんですか? 暖かさを保つには、肌の近くにある暖かい空気を逃さないようにしなければなりません。ヒートテックの生地には、太さが髪の毛の10分の1というマイクロアクリル糸が織り込まれていて、この糸の繊維と繊維の間には、断熱性の高い層が無数に存在します。そのため、レーヨン繊維で吸湿発熱した暖かい空気を糸の内部にとどめることで、保温性を持続させることが可能になります。
ーさまざまな繊維が使われているんですね。 ヒートテックは吸湿・発熱するレーヨンをはじめ、空気の層で保温性を保つマイクロアクリル、ストレッチ性に優れたポリウレタン、水分をすばやく吸収するポリエステルで構成されています。この4種類の繊維を複雑な構造で編み込むことで、それぞれの特性を引き出し、快適な機能を実現しています。
ー肌触りもすべすべで気持ちいいです。 肌の一部かのようにフィットして、着用感がないくらいソフトでしっとり。これがユニクロの理想の肌触りでした。素材の柔らかさは繊維の細さで決まりますが、ヒートテックは極細繊維でできているため、じつにしなやかです。また、保湿性のあるレーヨンに植物性オイルを配合しているため、独特のしっとり感があります。 ー製品化までに苦労した点はありましたか? 大きな壁になったのは染色でした。ヒートテックは4種類の繊維からなる合成繊維ですが、繊維によってそれぞれ染まるスピードが異なるため、同時に染めると色ムラができてしまいます。そこでユニクロと東レの技術者が何度も工場に出向き、ヒートテック専用の染料や染色方法の開発に成功しました。