ラーメン官僚が太鼓判を押す、徳島県の本当にウマいラーメン店『とりとたい 鳴門店』
ラーメン激戦区・鳴門市の名店『とりとたい 鳴門店』
前回ご紹介した『中華そば がっつ』に続いて、ここ数年間で一気に県内有数のラーメン激戦区と化した鳴門市から、とっておきの優良店をご紹介したい。 2022年11月にオープンした、『とりとたい 鳴門店』だ。ロケーションは、JR鳴門駅から徒歩15分程度、「小鳴門橋」のたもとにある(駐車場は18台分)。 森の中のカフェを彷彿とさせる、およそラーメン店らしからぬスタイリッシュな内外観が、普段ラーメンを食べないような客層のハートをもガッチリ掌握。続々と店内へ吸い込まれるカップル客や女性客の姿を目の当たりにし、私も、ラーメン店経営における雰囲気づくりの大切さを改めて実感させられた次第である。
さて、同店においては、「とりとたいラーメン」、「鶏白湯」、「味噌鶏白湯」、「シビカラ鶏白湯」など、数種類のラーメンが提供されているが、一番人気はもちろん、メニュー名に屋号を冠した「とりとたいラーメン」。その名の通り、鶏と鯛のブレンドスープを用いた一杯だ。 待つこと数分で眼前に供される「とりとたいラーメン」のビジュアルは、近年、近畿地方の「鶏白湯ラーメン」の店で頻繁に見かける、ブレンダーでスープを泡立たせた、いわゆるエスプーマ系。特に西日本においては“泡系鶏白湯”と称される、それほど珍しくないタイプだ。
しかしながら、これが鶏出汁に魚介出汁を合わせた「MIXスープ」となれば、話が変わってくる。中でも、鯛出汁を合わせたスープを泡立たせて提供する一杯は、泡系の本場・近畿地方でもめったにお目にかかれない。 華やかな香りとビビッドなうま味を兼ね備えた鯛出汁が、泡立たせることによって絶妙な塩梅ではんなりと和らぎ、鶏出汁のコク・滋味と仲睦まじく手を結ぶ。鶏単体、鯛単体だけでは到達し得ないワンランク上のうま味を体現することに成功したスープは、まさに試行錯誤の集大成と言うほかない。
お店の真ん中に鎮座する製麺室で丹念に打ち込む自家製平打ち麺のすすり心地も秀逸で、スープとの相性も、この上なく良好。「ダイブめしセット」を注文すれば、麺をすすり終えた後のスープを用いた「極上リゾット」も堪能できる。 食べ始めから食べ終わりまでワクワク感が持続する、類まれな良杯だ。