朝倉海UFC挑戦の24年前…「UFC初参戦でいきなりタイトルマッチ」を行った日本人とは? 雑誌の見出しは「星の王子さま」、最も王座に近づいた男
いよいよ日本時間の12月8日、アメリカ・ネバダ州ラスベガスのT-モバイルアリーナで行われる『UFC310』で、日本の朝倉海がブラジルのアレッシャンドリ・パントージャの持つUFC世界フライ級王座に挑戦する。 【写真70枚超】笑顔が爽やかすぎる堀口恭司やパイオニア宇野薫の若き日、10連勝でUFCと契約した平良達郎(22)のキレキレの肉体美もまとめて見る 総合格闘技の世界最高峰UFC初参戦でいきなりのタイトル挑戦は、近年では極めて稀。他の階級と比べて比較的選手層の薄いUFC最軽量級のフライ級とはいえ、この大抜擢は朝倉への期待度と評価の高さがうかがえる。 そんな朝倉海の挑戦からさかのぼること約24年前、2001年2月にUFC初参戦でタイトルマッチに臨んだ日本人ファイターがいた。『UFC30』でジェンス・パルヴァーとUFC世界バンタム級(現ライト級)初代王座決定戦を闘った宇野薫だ。 この24年前のUFC初参戦でのタイトルマッチ出場は、どういった経緯で実現したものだったのか。宇野薫のファイター人生とともに振り返ってみよう。
パンクラスの入門テストに落ちた過去
宇野薫は1975年生まれで現在49歳の現役プロ格闘家。UFCがスタートしたのは1993年11月で、宇野が18歳の時。少年時代はプロMMA(総合格闘技)自体がまったく確立されておらず、もともと目指していたのはプロレスラーだった。宇野はそんな自らの夢の原点を以前インタビューした際にこう語っている。 「まだ幼稚園に通っていた頃、4つ上の兄の影響で最初は新日本プロレスが好きになったんですよ。ちょうど初代タイガーマスクが登場した頃で、すごく面白かったんです。その後、一時プロレスから離れるんですけど、中学の時、兄がUWFにハマったのをきっかけに僕も観るようになって、船木(誠勝)さんのカッコ良さに憧れましたね。そして船木さんの経歴を見たら、中学卒業してプロレスラーになっていたんで、僕も運動神経には自信があったから中学を卒業したらプロレスラーになろうと思ったんです」 しかし、このときは親に「高校ぐらいは出ておけ」と反対されたため、レスリングの強豪校である横浜高校に進学。のちにパンクラスでデビューする同級生の渋谷修身らとともに、プロレスラーになる準備として3年間レスリングに打ち込んだ。 「高校3年の時、船木さんが新団体パンクラスを作って新人募集をしていたのでテストを受けたんですよ。そしたら一緒に受けた同級生の渋谷くんは受かったんですけど、僕は落ちてしまったんです」 パンクラスはリアルファイトの総合格闘技に踏み出した前衛的な団体だったが、初期はまだ通常のプロレスと同様に階級分けがされておらず、高校時代に背が伸びず身長172センチだった宇野は入門基準を満たしていなかったのだ。 「でも、落ちた理由は身長だけじゃなかったと思います。僕はそのときなぜか、入門テストを受けながら『合格したら、練習生としてまたキツい生活が続くんだろうな。女のコとも遊びたいな……』っていう邪念があって、それを船木さんたちに見透かされていたのかな、と(笑)。死ぬ気でやる覚悟が足りなかったんだと思います」
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