日銀・黒田総裁会見6月16日(全文2)物価は当面、前年比マイナスで推移
元の経済規模には戻らないのでは
産経新聞:産経新聞の大柳です。経済の先行きについて1点お伺いします。先ほどペントアップ需要だとか、あともう挽回生産のお話、ご指摘されましたけれども、一部では観光業とか元の状態に戻らないんじゃないかと、時間が掛かっても元の経済規模には戻らないんじゃないかという指摘も一部ではあるんですけれども、総裁、その辺りはどのようにみられてますでしょうか。 黒田:欧米でもそうですし、日本でもそうですけれども、最近、いろんな携帯端末のフォローをすることによって人々の動きがどうなっているかっていうのをよく日々のデータがあるわけですけれども、そういうのを見ましても、利用手段から言うと自家用車がどこでも相当戻っているわけですけれども、日本も含めてですね。徒歩で行くっていうのも戻っているんですけども、大量交通機関、公共交通機関はまだ戻ってないんですね。 それから移動していることの目的っていうか、移動先を見ると、勤務先とか、小売店舗とか、そういうところは戻っているんですけども、ご指摘のような観光に関係するのかもしれません、ホテルとか、それからレストランとか、それからいろんな劇場とか、そういうところは戻ってないんですね。ですから、これが短期的っていうか、当面の話なのか、ずっと新しい日常っていうか、そういう中で変わってくるのかって、まだ分からないと思います。 と申しますのは、さっき申し上げたように、治療薬とかワクチンが開発されて、広く利用されるようになってくれば、相当感染の懸念っていうのはなくなってきますので、そうすればさっき申し上げたようなレストランとかホテルとか劇場とか、そういうところに今、なかなか人が戻ってないということも解決されるかもしれませんね。
あまり悲観するのもどうか
ただ、今のところはまだその先っていうのは、まだ分からない感じで、一方で勤務とか小売店とかなんかにはみんな人が戻っているんですけれども、他方でサービス関係で、特にご指摘のような観光に関係するところとか、エンターテインメントに関するところとかなんかは戻ってないと。これがニューノーマルなのか、いや、そうじゃなくて治療薬やワクチンができれば完全に克服されて元に戻るのか、その辺りはもう少し見てみないと分からないというふうに思いますね。 ただ、あまり悲観するのもどうかと思いまして、そういった状況になればなったで、新しい生活様式っていうか、新しい観光とかエンターテインメントの様式もあるのかもしれませんので、今のところ完全には戻ってないことは事実なんですが、それが永久に戻らないとか、ずっとマイナスのままだっていうふうに決めつける必要はないというふうに思っております。