日銀・黒田総裁会見6月16日(全文2)物価は当面、前年比マイナスで推移
新しい生活様式の物価への影響は
ウォール・ストリート・ジャーナル:ウォール・ストリート・ジャーナルの藤川です。先ほど経済の回復とともに物価も上がっていくというようなお話があったと思うんですけれども、黒田総裁はかねてよりデフレマインドの払拭には時間が掛かるというふうにおっしゃられてきました。今回のコロナショックで雇用や賃金に不安がある中で、デフレマインドがまた強まっていくっていうふうには考えられないんでしょうか。 またポストコロナの時代では新しい生活様式というふうにいわれていると思うんですが、これが物価への影響といいますか、下押し圧力、特にどのようなところに強く作用するのでしょうか。 黒田:デフレリスクについてどう考えるか、あるいはデフレマインドについてどう考えるかっていうことですが、先ほど来、申し上げているとおり、わが国の物価は当面、前年比マイナスで推移するというふうにみておりますが、現時点でも原油価格の影響を除いてみますと、物価は底堅く推移しておりまして、また企業の価格設定行動が過度に慎重化するといった動きも広がっておりません。従いまして先行き、感染症の影響が収束していけば抑制されていた需要が現れてくるということに加えて各種経済対策の効果にも支えられて、わが国経済が改善していくとみられますので、その下で物価もプラスに転じたのち、徐々に上昇率を高めていくというふうに考えております。 新しい生活様式の下で価格についてどういう動きになるかっていうのは、これは日本だけでなくて欧米でもいろいろ議論されていまして、ただ一方的に何かデフレというか物価上昇率が低下するっていう議論はなくて、変わっていくっていう議論、変わっていかないっていう議論、両方あるようですので、私自身は新しい生活様式になったら物価が下がるということでは必ずしもないだろうということだと思っております。ただ、新しい生活様式自体がまだはっきりしていませんし、どういった形の新しい生活様式になっていくのかっていうこともよく見極めつつ、物価動向についても注目していく必要があるというふうに思っております。 【書き起こし】日銀・黒田総裁会見6月16日 全文3へ続く