日銀・黒田総裁会見6月16日(全文2)物価は当面、前年比マイナスで推移
感染再拡大による経済への影響は
テレビ東京:テレビ東京の大江と申します。よろしくお願いいたします。先ほども少し言及ありましたけれども、感染再拡大についてお伺いします。今アメリカや中国などを中心に世界的に感染再拡大の懸念というのが高まってきていまして、株式相場もその影響を受けて不安定になっているという状況ですけれども、この感染再拡大が起こると経済にどのような影響を与えるというふうに考えていらっしゃるでしょうか。 黒田:この感染再拡大の懸念、いわゆる第2波とかいうことについては、感染症の専門家も非常に懸念をしておられるわけですね。現状を見ますと、中国の北京で数十名の新しい感染者が出たっていうことで、緊急の対応策などを取っておられますけども、非常に大きな感染再拡大が起こっているということではないようですし、欧州の場合も、特に欧州大陸の国はほぼ収束してきて、一部の地域で若干感染が増えた場所もあったようですけども、全体としてはいわゆる第2波とか再拡大ということにはなってないと思います。 それからアメリカの場合は一部の州でそういった動きがあって、懸念する人もいるということは事実なんですけども、世界的に見ますと、今、最大の感染拡大の問題はむしろ新興国で、ブラジルとかインドとか、インドネシアとかですね。新興国というよりむしろ移行国ですけれども、ロシアとかですね。そういうところでの感染拡大が止まってないということが一番大きな問題になっていると思います。 もちろん先進国も含めて再拡大、第2波っていうことになれば、第1波のときと同じようにロックダウンとか、さまざまな措置を講ずることになると思いますので、そうなればなるだけまた経済に対する悪影響も出てくるということになると思いますけども、今のところは一番大きな問題はむしろ一部の途上国、新興国で感染の拡大が止まらないということが一番大きなリスクになってるんじゃないかというふうに思っている。 いずれにせよ、やはり治療薬、ワクチンができるっていうことが絶対に必要であって、これが開発されて広く利用可能にならない限り、いつも再拡大のリスクっていうものが残ってしまうということはあると思いますので、多くの方々と同様に、ぜひ治療薬、ワクチン、それぞれ開発も進んでいますし、一部治療薬はもう認可もされているわけですけれども、これが広く利用可能になるっていうことが絶対的に必要だなっていうふうに思っております。