日銀・黒田総裁会見6月16日(全文2)物価は当面、前年比マイナスで推移
日銀としてどう両立させていくのか
ブルームバーグ:ブルームバーグニュースの藤岡です。2点お伺いしたいんですが、まずは1点、イールドカーブについて、総裁、4月の会見でもご発言されているんですけども、いまだにマーケットの中でどういったスタンスなんだっていう見方があって、7月から政府の2次補正も伴って、国債が増額されてきますが、低位に全体的に安定させるというのと、イールドカーブをできるだけ寝ないようにするっていう、ここをどういうふうに日銀としては両立させていくお考えなんでしょうか。 黒田:この点についてはご承知のように2016年9月の総括的検証で指摘しているわけですけれども、超長期金利の過度な低下っていうものは保険とか年金などの運用利回りを過度に低下させて、マインド面などを通じて経済活動に悪影響を及ぼす可能性があるということは指摘されておりまして、日本銀行としてこうした認識に変わりはありません。 他方で感染症の影響で債券市場の流動性が低下している下で、国債増発が見込まれている状況を踏まえますと、債券市場の安定を維持してイールドカーブ全体を低位で安定させるっていうことが大事な状況でもあるということでありまして、このため当面、国債のさらなる積極的な買い入れを行うことが適当というふうに考えております。その際には政府がどういう国債をたくさん発行されるのかにもよりますけども、短中期をたくさん出すという説もありますので、そういった場合には当然そういったところの買い入れを増やして、そういったところの金利が上がらないようにするということになると思いますし、総括的検証の認識は変わっていませんけども、足元で一番重要なのはやはりイールドカーブ全体を低位で安定させるということだというふうに考えております。
金利を引き上げる状況には遠い
ブルームバーグ:2点目なんですけれども、先ほどもちょっと出ましたが、Fedのドットプロットチャートのほうで2022年ぐらいまでは金利は上がらないという見通しが示されて、今、ダウンサイド、下方リスクっていうのを見ている中で、日銀がその前に利上げができるのかどうかと考えるとちょっと難しいのではないかなという見方があるんですけど、その点、総裁はどういうふうにお考えになりますか。 黒田:正直にそうだと思いますね。ただあまり断定的なことは言いたくないので、というのは、この間の展望レポートでも、2021年度でも消費者物価上昇率は幅を持って皆さん出していただいたので、確か0%半ばぐらいから一番上でも1%ということですので、2021年度でもそういうような状況ということですので、なかなか2021年度であれ2022年度であれ金利を引き上げるというような状況にはなかなか遠いような気はしますね。