日銀・黒田総裁会見6月16日(全文2)物価は当面、前年比マイナスで推移
新しい観点での政策なのか
NHK:2つ目ですけれども、先ほど来、話が出ておりますが、今後の政策、必要に応じて拡充、拡大していくというふうなお話に関連してですけれども、総裁、この会見でもそうですし、先日の国会でも必要であれば新しい方策も必要になるというふうな可能性を示唆しております。今現在行われているのは、国債を上限なく購入して潤沢な資金供給でありますとか、企業の資金繰りを支援するといったようなこと、リスクプレミアムに働き掛けるといったような、この3つの柱があるかと思うんですけれども、新しい方策というのはこの3つの柱のどれかに属するものなのか、それともまったく新しい4つ目の柱といいますか、新しい観点での政策なのか、その辺りの見通しについてはいかがでしょうか。 黒田:先ほど来申し上げておりますとおり、感染症の影響を注視して、必要があれば中央銀行としてあらゆる手段をちゅうちょなく講じていくという所存でありまして、そうした際の具体的な手段としては今行われているような特別プログラムの拡充といったこともあるでしょうし、また、イールドカーブ・コントロールの枠組みにおける長短金利のさらなる引き下げといったこと等、いろんなことがありうると思いますし、不確実性が大きいということを踏まえますと新たな方策が必要になる可能性もあるということで、柔軟に考えていきたいというふうに思っております。
金融システムの現状への認識を聞きたい
ニッキン:すいません、ニッキンの【タダ 00:28:53】と申します。2つ質問があります。声明文でも触れられておりますけれども、金融機関の決算が出そろう中で金融システムの現状の認識をお伺いしたいのと、あと関連してなんですけれども、特別プログラムのオペの対象先も足元かなり増えてはおりますけれども、足元で結構役割が今、高まってる民間金融機関の活動ですとか取り組み、新型コロナ対応ですけれども、中央銀行の総裁としてどのように見られているかお伺いできればと思います。 黒田:現在の金融機関の状況と決算と、ほぼ出そろってきているわけですけども、2019年度決算を見ますと国内預貸利益が引き続き減少したっていうことと、それから投信販売の不振などから非資金利益も前年を下回るというようなことで、いわゆるコア業務純益が減益となっております。また、株式関係損益も悪化したとか、あるいは引き当ての積み増しで信用コストも増加したというようなこともあって当期純利益ベースでは大手行、地域金融機関共に減益となっております。 その後も感染症の拡大が内外経済に大きな影響を及ぼしておりますので注意が必要ですけども、現状、金融機関は資本流動性の両面で相応に強いストレス耐性を備えているということで、金融システム全体として問題が生じているということはないというふうにみております。ただよく注視していく必要がある、特に感染症拡大の影響が想定以上に長引いた場合には金融機関経営にどういう影響が出るかはよく注視していかなければならないというふうに思っております。 それから現状、金融機関は先ほど申し上げたように大変、企業などの、企業だけじゃなくて家計も含めて、さまざまな資金繰りの点で非常に積極的に貸し出しを増やしていただいておりまして、これは非常に評価すべきだというふうに思っております。 もちろん政府のさまざまな資金繰り支援措置であるとか、また、日本銀行が行ってきている企業等の資金繰りの支援、これもさまざまな形で、しかも多く拡充してきているわけですけども、こういったものがバックアップしてるということは事実なんですけども、やっぱりその中でも地域金融機関も含めて、企業の資金繰り支援を非常に積極的に行っていただいているということは高く評価していいのではないかというふうに思っております。