【大学トレンド】学べる「0円スポット」 学生参加型のユニークな大学ミュージアム
大学ミュージアムをご存じでしょうか? 大学ゆかりの貴重な文化財や研究成果を集めた、大学に併設されているミュージアムのことです。そのほとんどが無料で、大学の構内や近辺にあるので、キャンパス見学のついでに立ち寄ってみるのをおすすめします。今回は、ユニークな大学ミュージアムを3つ紹介します。学生が新しいアイデアを出した体感型のミュージアムもあります。 【写真】昔のイメージとは大違い? 女子高生に人気の意外な大学
慶應義塾大学三田キャンパス東別館にあるのが、2021年に開館した慶應義塾ミュージアム・コモンズ(通称KeMCo/ケムコ)です。センチュリー文化財団から寄贈された「センチュリー赤尾コレクション」のほか、これまで同大学が収集してきた文化財や学術資料を取り扱っています。 ミュージアムというと、所蔵品や研究成果を展示する常設展があるイメージがありますが、KeMCoで開催される展覧会は、さまざまなテーマの企画展のみとなっています。 同館の専任講師を務める本間友さんは、「KeMCo自体のコレクションにこだわらずに、大学全体で所有するコレクションをよりわかりやすく社会に開いていくことがKeMCoの活動です。その際、学内各所に保管されている文化財はもちろん、教員や学生たちがそれぞれの専門領域の研究・教育に使っているものを持ち込んで、学部・専攻・研究科の垣根を越えて交流し、新しいものを生み出していくことがKeMCoの役割だと考えています。KeMCoは自分たちの宝物を持ってきて遊べるような、空き地のような場所です」と言います。
コミュニケーションの場となるミュージアム
コミュニケーションの場としてのミュージアムであることから、KeMCoの展覧会はただ展示品を見せるだけではないのが特徴の一つです。 例えば、「常盤山文庫×慶應義塾 臥遊(がゆう)―時空をかける禅のまなざし」(2023年10月2日~12月1日開催)では、会場内にある作品解説は必要最低限にとどめています。その代わり、最後に作品を解説した小冊子を手渡されます。本展を担当した同館専任講師の松谷芙美さんは、その狙いを次のように話します。 「一通り作品を見たあとに、気になった作品は立ち戻って、解説を読んでみる。そうした行為を通じて、自ら一歩踏み込んで作品を深く知る、そんな鑑賞体験を提案したいと考えました。企画展によってコンセプトはそれぞれありますが、基本的にはものの力を最大限に生かすことを大事にしています」