プラごみ分別回収 静岡市が28年度から リサイクル技術進展、国の方針受け【ニュースを追う】
サーマルリカバリー
高度経済成長期以降、プラスチック製品が普及した一方、当時の焼却炉の性能では汚染物質のダイオキシン発生や過剰な温度上昇に伴う施設損傷が懸念され、多くの自治体が不燃物として埋め立て処理を選択。最終処分場が不足する問題を抱えていた。国は2000年代、プラごみのリサイクルに加え、焼却処理と合わせて排熱を発電や暖房、温水プールなどに利用するサーマルリカバリー(熱回収)を推奨した。環境省の統計によると、22年時点で全国のごみ焼却施設の4割が発電設備を備えるようになった。プラスチック循環利用協会(東京)によると、国内の22年の産業廃棄物を含むプラごみ総量は823万トンで、このうちサーマルリカバリーに利用されたのは510万トンと全体の62%を占めた。
湖西市は分別やめ焼却 環境、費用、災害時対応…「現時点でベスト」
湖西市は市環境センターの焼却施設を再稼働し4月から、分別回収していたプラごみを可燃ごみとして焼却処理する方法に変更した。下水処理で発生する脱水汚泥を焼却処理するための助燃剤として活用するためで、担当者は「環境面や費用面、災害時対応をトータルで考えると現時点でベストの選択」と話す。 市はこれまで脱水汚泥の処理を他県の施設に委託していたが、災害時でも安定して処理できるよう焼却施設を改良し、自己処理できるようにした。脱水汚泥は水分が多く燃えにくいため、本来は重油を加えるが、プラごみを合わせた可燃ごみを一緒に燃やすことで不要になった。 排熱は発電や隣接する温水プールで再利用し、市は重油使用量削減や発電に伴うCO2削減効果を年間1508トンと試算。2023年度実績で412トンのプラごみを焼却処分することに伴うCO2排出量を年間約1200トンと見込み、環境面でも貢献しているとみる。 市に寄せられた市民の反応はさまざまだ。プラごみの分別をやめたことに異議を唱える人がいれば、「プラごみの汚れを水で流す必要がなくなり、環境にもいいこと」と肯定的な意見もあった。ごみの総量に変化はみられないという。 静岡市は一般廃棄物処理とは別に、下水道施設の脱水汚泥の一部を浄化センターで炭化・焼却処理し、生成物をセメント原料などに活用している。処理の際、補助燃料として重油を加えている。