家庭内事故死、約9割が65歳以上。専門家が教える、身を守る8ヵ条。「自分の家だから大丈夫」と過信せず、まずは「床に物を置かない」ことから始めて
◆【5】安全装置つきの加熱機器を使う 料理中にコンロのそばを離れ、気がついたらお鍋が黒焦げ! 「うっかり」が取り返しのつかない事故にがるのが火の恐ろしさです。 IH調理器の導入もひとつの手ですが、最近は長すぎる燃焼や立ち消えなどの異常を感知すると自動的に消えるコンロもあり、おすすめ。 表面温度を低く保ち、触れても熱くない暖房器具もあります。 火や熱による事故を減らすために、安全に配慮した家電を選んで活用しましょう ◆【6】手すりや腰かけ、部分照明をつける 家の中の段差をすべて取り払うなど大掛かりなリフォームをしなくても、家庭内事故を防ぐことはできます。 廊下や階段の暗い箇所は照明を明るいものに替えたり、足元灯を活用する、玄関にいすを置いて靴を履く時の体のふらつきを防ぐ、段差の手前に目印になるテープを貼る。 さらに浴室や階段に手すりをつけるなど、手軽にできることから取り組んでください。
◆【7】家族との会話や人づきあいを増やす 万一、事故に遭っても、早めに手当てをすれば重傷に至らずにすんだ、死亡事故にはならなかった、というケースは少なくありません。 同居する家族がいたら入浴前後はひと声かけ合うなどの工夫をして、事故に遭っても早めに対応できる態勢を整えましょう。 また、ご近所づきあいがあると、事故や災害に関する情報を交換するなど常日頃から助け合うことができ、家庭内事故の予防や早めの対処にもがります。 ◆【8】《まさか》を防ぐトレーニング 小さな工夫でリスクを減らせても、《まさか》の事故をゼロにすることはできません。いざという時に自分で自分の身を守れるように、できる範囲で体を鍛えて、健康寿命を延ばすことも大切です。 ウォーキング(ひざや腰に負担をかけないように注意)や、嚥下体操(舌を出したり入れたり、首を回したりする)を習慣にして、意識して筋肉を動かし、身体能力の維持を心がけて。 (構成=浦上泰栄、撮影=本田亮)
井上恵子