「巨人を出ろ」と後押ししてくれた恩人に感謝 「満塁男」の別の顔は「併殺打男」・駒田徳広さん プロ野球のレジェンド「名球会」連続インタビュー(35)
プロ野球のレジェンドに現役時代や、その後の活動を語ってもらう連続インタビュー「名球会よもやま話」。第35回は駒田徳広さん。1983年4月に日本プロ野球史上初めてプロ初打席で満塁本塁打を放ちました。歴代5位タイの13本の満塁弾をマークする一方、不名誉な打撃記録を残したシーズンもあります。どのように打開したのか詳しく教えてくれました。(共同通信=中西利夫) 不安で眠れず夜中の3時に素振り・張本勲さん プロ野球のレジェンド「名球会」連続インタビュー(34)
▽相手投手の方が何とか逃れたいと思っている。気負っちゃいけない。 最初に「満塁男」と呼んでくださった新聞記者さん、そして、みんなに言ってもらったことに非常に感謝しています。やっぱり成功していく選手は、そういうものが何かあるはずだから。それを最初にヨーイドンでつくれた。長くやっていける条件を最初にクリアできたのかな。高校の時から満塁で敬遠されたとか、満塁に関してはいろんな「なぜか」ですよね。勢いって怖いですね。勢いづけられるってモチベーションなりますからね。自分のプロ野球選手としての生きる方向も決めてもらったし、その後の野球人生で一つの支えにもなりました。 満塁本塁打13本のうち横浜(現DeNA)時代に8本。打順がローズの後だった、あの打線は満塁で回ってくる可能性が高かった。必ずローズが歩かされる。3番の鈴木尚典が打席に立ってる時に「こいつがヒットを打ったら(ローズが)歩かされて」と、5番の僕は、そればっかり考えてた。満塁の時、バッターは気負いみたいのが出ますから併殺打とかになりやすい。ホームランを狙ってやろうという思いは、ほとんどないです。何とかしないといけないぞ、チャンスでランナー1人はかえさないといけないなという意識が最初にありました。
日本一になった98年は2本、満塁で打った。僕はボールの見極めが悪い選手だったから、満塁の方がいいんです。ボール球に手を出さなければ最後はストライクが来る。ストライクゾーンで勝負する確率が上がるということは、気負わず自分をコントロールできればいい。「満塁男」の意味は集中力があるということ。それが僕を支えてくれていた。気負っちゃいけないよ、相手の方が何とか逃れたいと思ってるんだよって、そういう考え方ができました。 ▽ステップ幅の調節で緩急を攻略 巨人に入団してプロ1、2年目は全然駄目でしたね。4~6年目も、まだ駄目でした。この時期に取り組んだ一本足打法は合うとか合わないとかいう次元じゃなかった。王貞治さんや荒川博さんの言うことが理解できなかった。自分で言うのもなんですが、プロ野球選手の95%ぐらいは理解できなかったと思います。それぐらい先をいってることだった。80%ぐらい理解できるようになったのは94年に横浜に移ってからだと思う。