地滑りのあと、9日間も続いた“人間が感じない震動”…その謎が解けました
謎はすべて解けた
最終的に、研究チームは衛星画像と地滑りが発生した地域の写真を分析して、原因が静振だったことを突き止めました。その後、スーパーコンピューターで地滑りと雪崩の局地的な影響をシミュレーションした結果、9日間続いた静振の地震波と一致したとのことです。上の動画を見ると、何が起こったのかよくわかりますね。 研究に参加したカリフォルニア大学サンディエゴ校スクリップス海洋学研究所の開発エンジニアであるCarl Ebeling氏はこう話します。 この研究結果は、私たちにはまだ理解していない、見たこともない現象があることを示しています。解明されていない疑問に答えようとすることが科学の本質だからこそ、今回の取り組みはとても興味深いものでした。 研究に参加した地質学者たちは、今後、他の研究者が過去にも同じ現象が発生したかどうかを調査して明らかにするのを期待していると述べたうえで、ある程度は極地域における気候変動の影響で地滑りの頻度が高くなっているため、将来的に今回と同様の現象が起こる可能性があると注意を促しています。たしかに、2019年の研究結果では、1984年から2015年の間に、北極圏において底氷の融解に起因する地滑りが60倍増加したことが判明しています。 大きな被害がなくてよかったとはいえ、局地的にでも高さ200mの津波は想像したくもありません。
Kenji P. Miyajima