“夫の手綱”を妻が握らなくたっていい。発達障害のパートナーとの関係に疲れたときの「自分の守り方」【野波ツナさん】
長年連れ添った夫婦は「新しい習慣」を取り入れてみる
――長年連れ添ったパートナーでも、今から関係性を変えていくことはできると思いますか? 「もうあの人は変わらない」と諦めモードな方もいらっしゃるかも、とも感じます。 野波:長年ともなると、すでに習慣化した行動を変えることは簡単ではありませんよね。だから「変える」よりも、「新しい習慣」を入れてみるほうがおすすめです。肝心なのは、その「新しい習慣」が「あの人」にとって嬉しいこと、楽しいことである、ということです。 たとえば、月1回意見交換をする「定例会」をして、その後には美味しい物を一緒に食べて嬉しい時間にする。あるいは、毎週日曜は一緒に家の片付けと掃除をして、その後は映画などに一緒に出掛けて楽しむなど。お願い事を聞いてもらったら、おおげさに喜んでみせるだけでもいいんです。こんなふうに、「義務の行使とご褒美を紐づけする」というのは、「あの人」に大きな効果があると思います。
不機嫌な顔しかできないときは、顔を合わせない
――義務と楽しいこととセットに、というのは、とても具体的なアドバイスですね。 野波:ただ、そこまでの元気すらない、という場合は、「不機嫌な顔しかできないときは顔を合わせない」だけでもいいんです。その際は、「私が苦しんでいることを、なんであの人は気付かないの?」と思わずに、「私が苦しんでいることを知られたら余計面倒なことになるから、気付かれない方が都合がいい」と考えるようにします。 他者の表情から感情を読み取ることが苦手な「あの人」に苦しい顔を見せると、自分に対して不満そう、自分が非難されてる・責められている、などと受け取りがちだからです。 そしてご自身は、空いた心の穴を埋められるような、別の場所を見つけることをおすすめします。友人、趣味、推し活、コミュニティなど何でもいいのですが、私の場合、リアルの友人に愚痴を言っても、アキラさんの顔が見えるぶん気を使わせてしまっているな、と感じたりしました。今ならSNSで同じような状況の人に打ち明ける方が、言いたいことを言えて、心が落ち着くかもしれませんね。