今のレッドブルに、昨年のような強さがない理由……テクニカルディレクターのワシェ「ライバルがもっと早く近付いてくると思っていた」
今季開幕直後は圧倒的な速さを見せ、連戦1-2フィニッシュを飾っていたレッドブル。しかしその勢いは突如削がれ、シーズン前半最後の4戦は、いずれも勝利を手にすることができなかった。しかしレッドブルのテクニカルディレクターを務めるピエール・ワシェは、もっと早くライバルに追い付かれるだろうと考えていたことを明かした。 【ランキング】レッドブルは逃げ切れるのか? 2024年F1コンストラクターズランキング 2023年は22戦中21勝を挙げ、F1の歴史を振り返っても最強と目されたレッドブル。今シーズンも開幕すると開幕戦バーレーンGPと第2戦サウジアラビアGPで連続1-2フィニッシュ、第3戦オーストラリアGPではマシントラブルでリタイアとなり土がついたが、第4戦日本GPでまたも1-2フィニッシュ、第5戦中国GPではマックス・フェルスタッペンが優勝、セルジオ・ペレスが3位とダブル入賞……昨年同様の強さでシーズンを席巻するかに見えた。 しかしその後はマクラーレンやフェラーリが台頭し、さらには前半戦の後半4戦中3戦でメルセデスが勝利……夏休みまでの14レースでの勝利数は7勝に留まった。勝率5割だからそれでも十分強いわけだが、それでも昨年、今シーズン開幕直後の強さと比べると、物足りない部分もある。 「期待していたような結果ではなかったと思う。昨年に比べて改善したことは間違いないが、いくつかの部分では、期待していたほどの成果を得ることができなかった」 レッドブルのテクニカルディレクターであるワシェは、そう語った。 「特に高速コーナーでは、もう少し期待していたんだ。競争力についてではなく、我々の基準に基づき、ツールでの数値からすればもう少し期待できると思っていた」 「いくつかの部分は、(実際の走行とデータの)相関関係に関連していると思う。我々はかなり古い風洞を使っているし、昨年のランキングによる作業量の減少とも関連している可能性があると思う」 前述の通り、開幕戦バーレーンGPが終わった段階では、メディアセンターでさえ「今年もレッドブルが圧勝か」という空気になった。全勝すら可能かもしれない……そう考えた人もいた。 「残念ながら、我々のポジションはここだね」 そうワシェは笑いながら語った。 「もちろん冗談だけどね。でも正直に言って、ライバルはもっと早く近づいてくると予想していたと思う」 「(現行レギュレーションが導入された)2022年シーズンが始まった時、我々は最速のマシンを持っていなかった。フェラーリが最速だったんだ。だから、2023年は激戦になると考えていたんだが、そうはならなかった」 「2024年も、多かれ少なかれ、ライバルが近づいてくると予想していたんだ。同じレギュレーションの下では、マシンのパフォーマンスは当然制限されるため、他チームが接近してくると予想したんだ」 「実際、最初の4~5レースを終えた段階では、他のチームが近づいてきた。チームによる差とか、少し遅れたチームもあったけど、我々は正直に言って、それを最初から予想していたんだ」