今のレッドブルに、昨年のような強さがない理由……テクニカルディレクターのワシェ「ライバルがもっと早く近付いてくると思っていた」
■ライバルが伸びた? レッドブルが後退した?
ライバルが伸びたのか? それともレッドブルが伸び悩んだのか? そう尋ねると、ワシェは次のように説明した。 「私は両方の要素があると思っている。現在のレギュレーションではかなり制限が厳しく、一歩踏み出すために何を見つけるかは、とても難しくなっている。同じレギュレーションが続けば、ライバルがいつかは近付いてくることはほぼ確実だ」 「我々にとっては限界かもしれないが、それが全体にとっての限界というわけではない」 「この業界では、他の人たちのアイデアも取り入れる。過去2年、ライバルたちは我々のアイデアを取り入れてきた。しかし基本的には、大きな一歩を踏み出すためには、ライバルたちも何かを見つける必要がある。今、それが起こり始めているんだと思う」 ライバルが追い上げてきた一員は、フロントウイングにあるのではないかと、ワシェは考えている。 「現在のマシンは空力に大きく依存しているので非常に難しい。バランスを調整するのが難しい場合もある」 「そのバランスを取るために、マシンに何らかの機械を取り付ける必要がある。彼らが何を使っているかは分からないが、注意深く見てみる必要があるだろう。フロントウイングは、我々のモノとは少し違う動きをしている。とても興味深いね」 ハンガリーGPで投入した新型のフロントウイングは、他チームからのインスピレーションも得たものだと、ワシェは認めた。 「もちろん、我々は他の全てのチームのことを見ている。他のチームのアイデアを使うのは、この業界では当然だ。他のチームも非常に賢いから、それを使わなければいけない」
■縁石は去年から弱点だった
RB20の長所と短所はどこなのか? そういう問いにワシェは「もう、長所なんてあるか分からないよ!」と笑いつつも、次のように続けた。 「マシンの全体的なパフォーマンス……特に中速と低速では、昨年に比べてかなり改善されたと思っている」 「ただライバルと比べると、昨年に比べて高速コーナーのパフォーマンスは少し弱かったようだ。昨年はその点では、我々はとても優れていたんだけどね」 「一方で縁石は弱点だ。それについては、昨年もそうだった。期待したほどの改善はできなかったと思う」
田中健一, Ronald Vording