ピタゴラスの暗号資産ファンド、2024年のビットコインのリターンを上回る
時価総額最大の暗号資産(仮想通貨)であるビットコイン(BTC)は、2024年に121%急騰して10万ドル台に突入、伝統的な資産を凌駕した。しかし、このパフォーマンスは、暗号資産クオンツ取引会社ピタゴラス・インベストメント・マネジメント(Pythagoras Investment Management)のアルファ・ロング・バイアス戦略と比較すると見劣りする。 BTCをベースとしたポジションと2つの相関のない戦略を組み合わせたファンドは、2024年に204%という素晴らしいリターンを達成したとピタゴラスはCoinDeskに電子メールで述べた。これは資産が3倍になったことを意味し、典型的なビットコインのバイ・アンド・ホールド投資家が実現したであろう2倍のリターンを大幅に上回る。このファンドは、ビットコインのパフォーマンスを上回った場合にのみ成功報酬を請求する。 このファンドの基本ポジションはビットコインであり、長期にわたる価値上昇に直接的に投資できる。また、2つの非相関の戦略、すなわちモメンタム・マーケット・タイミング戦略とロングショート・マーケット・セレクション戦略により、アルファが生まれる。 モメンタム戦略では、機械学習とパターン認識を用いてエクスポージャーを動的に調整・最適化することで、短期の市場変動を捉えることを可能にしている。一方、ロングショート戦略では、AIベースの独自予測モデルを活用してドル中立のポートフォリオを作成し、優れたリターンが期待できるトークンにはロング投資を行い、パフォーマンスが劣ると予想されるトークンはショート投資を行う。 3つの構成要素への配分は、ビットコインに対するリターンを最大化するように調整されている。 そのパフォーマンスにもかかわらず、アルファ・ロング・バイアス戦略はピタゴラスが運用するファンドの中で最も小規模なファンドであり、総運用資産(AUM)は700万ドル(約10億8500万円、1ドル=155円換算)だった。12月には年末のBTCが10万8000ドル以上の過去最高値から9万3000ドルまで下落したため、2%のドローダウンを記録した。 一方、ピタゴラスのアービトラージ戦略は12月に3%のリターンを達成し、18%の利益と4500万ドル(約69億7500万円)の運用資産で1年を終えた。クオンツ・ロングショート・ファンドは2024年に30%のリターンを達成し、運用資産は2300万ドル(約35億6500万円)、アブソリュート・リターン戦略は41.7%のリターンを達成し、顧客資金は1億5800万ドル(約244億9000万円)に達した。ピタゴラスは、この2024年のトップ資産ファンドは2月1日に新規投資家の受け入れを停止すると述べた。 4つのファンドの運用資産総額は、強気相場が投資家の信頼を高めたため、2023年の8000万ドル(約124億円)から2億3000万ドル(約356億5000万円)以上に増加した。