レモンポップ、史上初のチャンピオンズC連覇達成 順風満帆ではなかった今年、田中博師は信じ激闘見届け涙
◇1日 第25回チャンピオンズC(G1・中京・ダート1800メートル) 万感のラストランだ。主導権を握った1番人気のレモンポップが、昨年と同様に逃げ切り、現レース名になってからは初の連覇を達成した。国内のGⅠ級レース6戦6勝での有終の美。騎乗の坂井瑠星騎手は「背中にいられたことを誇りに思います。引退しても忘れることのない1頭になりました」とかみしめるように感謝を伝えた。 絶好スタートを決めると「来るなら来い」とハナを主張し、前半1000メートルは1分0秒8。昨年と0秒1だけ速い絶妙のペースを刻むと、抜群の手応えのまま直線へ。「これで差されるなら仕方ない」。右むちに応えて後続を引き離すと、最後はウィルソンテソーロの猛烈な追い上げをわずか10センチしのいで、現役最後のゴール板を駆け抜けた。 絶対王者として注目され続ける存在だったが、今年は決して順風満帆ではなかった。田中博師が「膨らんだ風船が破れそうな感じ」と評するように、抜群の仕上がりだった昨年のチャンピオンズC後は精神面の不安がつきまとった。「馬場入りで今までにない挙動を見せたり、調教で2歳馬に遅れたり。気持ちの部分で衰えを感じていました」。ラストランもコンディションは抜群。あとは馬の気持ちを信じるだけだった。 それだけに愛馬の最後の激闘を見届けた師は涙が止まらなかった。「勝ってくれた喜びと申し訳ない気持ちと…。いろんな思いが込み上げてきました」。厩舎に初の重賞、GⅠをもたらし、押し上げてくれた看板馬に「最後までいろいろなことを教えてくれた先生でした。お疲れさまとありがとうという言葉しかないですね」と言葉を紡いだ。 砂の絶対王者の名をほしいままにしたレモンポップ。今後は種牡馬として、そのあふれるスピードを子どもたちに伝えてくれるはずだ。
中日スポーツ