日銀・黒田総裁会見4月27日(全文3)信用コストの増加リスクに注意が必要
金融市場の今後の見通しは?
ニッキン:すいません、ニッキンの【タダ 00:51:34】と申します。金融システムに関連してなんですけれども、新型コロナウイルスが感染拡大する以前から金融機関の収益環境は厳しい状況だったと思うんですけれども、今度、新型コロナウイルスによって信用コストの上昇懸念というのも出てきていると思うんですが、個別の金融機関の体力も含めてなんですけれども、現状の認識ですとか先行き、今後の見通しについてお伺いできればと思います。 黒田:新型コロナウイルス感染症が拡大して世界経済が急速に落ち込んで、国際金融市場も不安定化するという下ではありますけども、現状、わが国の金融機関は資本それから流動性の両面で相応に強いストレス耐性を備えておりまして、金融システム全体として安定性を維持しているというふうに考えております。そうした下でご案内のとおり、金融機関の融資も2%台で引き続き拡大しているということであります。ただ、今後、仮に内外で感染症拡大が想定以上に長引いたという場合には、実体経済の悪化が金融システムの安定性に及ぼす影響も、そういう恐れもあるといことはそのとおりでありまして、具体的には景気悪化に伴って信用コストが増加するリスクというものには注意していく必要があるということはそのとおりだと思います。 一方でご案内のとおり、政府も大規模な資金繰り支援を、財政的な措置も踏まえて行っておりますし、日本銀行としてもその機能を最大限活用して、金融面から企業、経済にマイナス生じないようにやっていくということに尽きるというふうに思っております。
CP・社債買い入れ増額の影響をどう考えているのか?
ウォール・ストリート・ジャーナル:ウォール・ストリート・ジャーナルの藤川です。CP・社債の買い入れの増額についてですけれども、20兆円という数字ですが、日本のCP・社債市場の規模からすると、かなり大きな数字になるかと思います。そういった中で日銀のプレゼンスがそれだけ拡大したことによって、市場機能などに与える影響というか副作用など、どのようにお考えでしょうか。 黒田:CP・社債につきましては、株式についていろいろいわれるような問題はあまりないわけでして、むしろ新型コロナ感染症の拡大を踏まえて大企業などが資金手当てを前広にやろうということで、銀行からのクレジットラインの拡大とか、CPや社債の増発を行っているということでありますので、それが企業の資金繰りを逼迫させないように一方で金融機関に対するさまざまなオペを行い、政府がさまざまな資金繰りの支援を行うという一方で、日本銀行としてできる限りのことの一貫としてCP社債の買い入れ額を大幅に増加させるということであります。 確かに米国に比べますとCPや社債の市場というのはそれほど大きくありませんので、このぐらいの買い入れでも相当な規模になることは事実なんですね。ということは、逆に言えばそういうことでCPや社債市場の逼迫を防止できるということでありまして、まさにそういったことを避けるために必要なだけやろうということで、かなり思い切って3倍ぐらいにしたということであります。 【書き起こし】日銀・黒田総裁会見4月27日 全文4へ続く