「群を抜く存在になった」“世界戦3連続KO”中谷潤人の次の相手は? 元世界王者・飯田覚士が語る井上尚弥との“決定的な違い”「まだ機は熟していない」
中谷と井上の“共通点”と“決定的な違い”
スーパーバンタム級でも圧倒的な力の差を見せつけている井上に対し、恐ろしいほど成長スピードを上げている中谷。両者に共通する部分を、飯田はどのように見ているのだろうか。 「一つ挙げるとすれば、相手の視点に立ったボクシングをすることです。相手が何を考えているか、どういうことをされたら嫌か、どういう位置に動かれたら嫌かなど、常に頭に入れながら戦っています。相手を見ながら、自分がどうするかを弾き出す頭の回転スピードが2人とも恐ろしいほど速い。相手の思考を混乱させて、自分で操っていくイメージ。相手がどうやって来ようとも対応して切り替えていけるその凄さは、共通していると感じます」
両者が交わる日は来るのか…
多彩なパンチ、引き出しの多さ、勝負どころでの獰猛さ、攻防一体の完成度……重なる部分は確かに少なくない。逆に決定的な違いがあるとすれば、何か。飯田の表現が何とも的を得ている。 「僕から見ると、尚弥選手は“赤い炎”で中谷選手は“青い炎”なんですよね。尚弥選手の場合はまさに燃え盛る火のようにメラメラしていて、見せ場をつくって観る者を熱くさせる。相手が出てこなければ挑発したり、お客さんを意識するようなパフォーマンスがあったり。一方の中谷選手の場合はガスバーナーの火みたいに、ずっと一定なんですよね。挑発もなければ、お客さんに向けたパフォーマンスも今までない。淡々とやるべきことをこなしながらも実は熱いっていうイメージですよね。熱の放出の仕方という点では明らかな違いがあるように僕の目には映ります」 井上尚弥を追い掛ける中谷潤人。 いつか交わる宿命にあると思わないではいられない。両者の遭遇は近からずとも遠からず。ペッチを倒した今回のKO劇がその距離を縮めることになったことは間違いない。 <前編から続く>
(「ボクシングPRESS」二宮寿朗 = 文)
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