「群を抜く存在になった」“世界戦3連続KO”中谷潤人の次の相手は? 元世界王者・飯田覚士が語る井上尚弥との“決定的な違い”「まだ機は熟していない」
WBC世界バンタム級王者の中谷潤人が、挑戦者ペッチ・ソー・チットパッタナ(タイ)を6回TKOでくだし2度目の防衛に成功した。ダウン経験がなく76勝(53KO)1敗というキャリアを誇る難敵から2度のダウンを奪う圧巻の内容。WOWOW「エキサイトマッチ」の解説を務めるなど海外のボクシングにも精通する元WBA世界スーパーフライ級王者・飯田覚士氏が、中谷の圧倒的な強さ、そして井上尚弥との共通点・違いについて分析した。<全2回の後編/前編も公開中> 【衝撃写真】「つ、強すぎる…」中谷潤人のエグい左がペッチの顔面にグニャリとめり込み…ダウン経験から2度のダウンを奪った圧巻のKO劇の決定的瞬間をすべて見る!
「この選手はやっぱり怖いなって」
6ラウンドのちょうどハーフタイム、バゴッ! という打撃音が鳴り響いた。 中谷潤人があまりに強烈すぎる左オーバーハンドをカウンターで顔面に打ち込む。それでも表情を変えない1位挑戦者ペッチ・ソー・チットパッタナに連打を浴びせ、ここまで77戦して1度もダウン経験のない相手をキャンバスに横たわらせる。昨年5月にアンドリュー・モロニーを1発で沈めた必殺ショットを起点としたダウンシーンよりも、飯田覚士を驚かせたのはペッチの「その後」であった。 「中谷選手も“決まった”と思ったはず。パンチを当てた後、倒れるくらいの感触があったからバックスステップで2、3歩引いたくらい。それが倒れていないから、距離を詰めてラッシュしてダウンを奪いました。でも立ってからのペッチ選手が凄まじかった。動じることなく、気合いを入れ直したかのようにパワーを乗せたパンチで中谷選手と果敢に打ち合っていきましたよね。普通のボクサーなら到底、無理。この選手はやっぱり怖いなって思いました。頑丈で、気持ちも強くて。判定までいってもおかしくないなって思っていたら、その想定をまた中谷選手が超えていくわけです」 両者はリング中央で打ち合い、ペッチのパンチにも力と魂が宿る。残り15秒のタイミングだった。中谷はワンツーを浴びせた後に左アッパーでペッチの体を起こしてから右フック、左ショートを見舞う。相手の動きが鈍り、残り10秒を告げる拍子木が鳴ると、伸びのあるワンツーを顔面に突き刺して試合を終わらせた。不気味さを漂わせていた挑戦者を、きっちりと仕留め切ったのだった。
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