ペットショップで “売れ残る犬・猫たち”の行方「ビッグパピー」「マナードッグ」…大手ペットチェーン店が模索する売れ残りを出さないための取り組み
「ビッグパピー」「マナードッグ」…値崩れしないための取り組み
ペッツファーストでは、店頭で生後半年を超えた犬に「ビッグパピー」という名称をつけ、在庫管理を行っている。ビッグパピーは常時、全国に20匹ほどいるといい、3万~5万円程度の価格設定にして売り切ることを目指している。 「ビッグパピーと名付けることで、こういう子が増えすぎないよう、社員に意識づけています。病気などがあってどうしても売れない子は、栃木県日光市で運営している老犬ホーム『ペットリゾートカレッジ日光』でケアするようにしています」(正宗伸麻社長) コジマの場合は、「滞留時間が長くなるという問題はあるが、売れ残る子はほとんどいない」(小島章義会長)とする。それでも売れ残ってしまう場合、繁殖業者に無料で譲ったり、社員を対象に「里親」を募ったりする。 ただ同社は、「ディスカウントをしてしまうとイメージが悪い」という考え方を持つ。そのうえでなるべく売り切るために、大きくなってきた犬にはトレーナーによるしつけを始める。トイレや散歩のしつけをほどこして、付加価値をあげたうえで販売するという取り組みだ。 売れ残りつつある犬が値崩れしないための取り組みは、他社でも取り入れている。 「マナードッグ」。AHBでは2014年から、大きくなった一部の犬たちにそんな名称をつけたうえで、価値向上に努めてきた。 具体的には数十人のドッグトレーナーと提携。トレーナーのもとで(1)トイレトレーニング、(2)かみつき抑制、(3)吠え抑制、(4)飛びつき抑制、(5)社会化などを1カ月かけて身につけさせる。 さらに、このトレーニングを終えた犬を希望する消費者に対しては、すぐに販売をするのではなく、「1日お預け」をする。そのうえで消費者が納得すれば、ようやく正式に販売する。こうした取り組みの結果、販売価格は1カ月分ほど維持できるようになっているという。 同社の担当者はマナードッグの取り組みの狙いについて、こう話す。 「犬は店頭に置いておくと価値が下がるもの、という常識を変えたかった。そして、衝動買いをするべきではないという考え方も浸透させたかった」