管理職にならない選択が「普通」に? 「責任の重圧」「年収減の可能性も」…“なりたくない”リアルな理由とは
管理職になりたくない人が増えている背景
管理職になりたくないというのは、決して珍しいことではありません。近年は、管理職になりたくないと考える人が増えています。その背景には、働き方や価値観の変化が深く関係しています。 <若手層の意識の変化> キャリアに対する考え方は人それぞれです。昔は年功序列賃金制度により、仕事を優先してキャリアアップすることが成功とされていました。 しかし、時代が変わるにつれて、働き方に対する意識も変化しているのが現状です。近年は、一つの企業で長く働きながらキャリアアップするという従来のキャリアパスが薄れつつあります。 今では、企業の目標達成だけでなく、自分の興味や関心に基づいて活動し、長く時間を費やしたいと考える人が増えています。この傾向は特に20代を中心とする若年層に強く見られます。 <働き方の多様化> 管理職になりたくないと考える人が増えている背景の一つは、働き方の多様化です。 近年は、IT技術の急速な進化や新型コロナウイルス感染症の影響などにより、テレワークやハイブリッドワークといったオフィス出社以外の働き方が普及しています。 また、VUCA時代に突入し、不透明で将来の予測が困難ななか、社会変化に対応できる働き方の重要性が高まっています。 そのため、従来のキャリアパスにこだわる人が減り、転職やフリーランス、副業など、企業に縛られない働き方が選ばれるようになっています。 <業務負担の増加> グローバル化やデジタル化により、管理職の役割も大きく変化しています。 昔は、上層部が決定し、下の階層がその指示を実行するトップダウン型のリーダーシップが一般的でした。 しかし、近年はチームメンバーを鼓舞し、個々の魅力を最大限引き出せるようなリーダーシップが求められるようになり、人手不足やリスク管理、コンプライアンスの遵守など、管理職に求められる業務が増えています。
管理職になるメリット
若い世代を中心に、管理職になりたくないと考える人が増えています。しかし、管理職になることは、デメリットばかりではありません。リーダーシップを発揮し、チームを導く経験は、個人の成長やスキルアップにつながります。 <キャリアアップ・年収アップの機会が増える> 管理職になるメリットの一つは、キャリアアップと年収アップのきっかけになることです。 社内で昇進するためには、管理職としての経験が求められるケースがほとんどです。 重要な役割を担うことで社内での評価が上がれば、キャリアアップにつながります。 また、管理職になると役職手当が支給され、給与がアップするケースが多い傾向にあります。 管理職は組織全体の目標達成に大きく貢献するため、その貢献度に見合った報酬が得られるでしょう。一方で管理職にならない場合、年収アップのペースが遅くなる可能性があります。 <キャリアパスが広がる> 社内で理想的なキャリアを築きたい場合は、企業が示すキャリアパスに沿って管理職を目指すのも選択肢の一つです。 管理職は新たなことにチャレンジする機会も多く、組織内でのキャリアの幅が広がります。リーダーシップやマネジメントスキルなど、新たなスキルを習得し、自己成長を促すことも可能です。 一方で管理職にならない場合は、キャリアパスが限定され、やりたい仕事に就けない可能性があるかもしれません。 <転職活動においてアピールポイントになる> 管理職の経験は、転職活動において大きなアピールポイントになります。 たとえば、組織の課題を解決した経験は問題解決能力の証明になります。また、部下や他部門とのコミュニケーションを円滑にし、業務を調整した経験はコミュニケーションスキルの高さを示します。 中途採用では即戦力が求められているケースも多く、マネジメント経験がある人材は重宝されるでしょう。