【密着】歌舞伎町で70年、路地裏の「人情食堂」……お客たちの“マル秘”人生 大都会の「心のよりどころ」に『every.特集』
■バレエダンサー「ここなら話しやすい」
夜7時。職場の同僚たちとよく来るという常連客がいました。この日は男性と女性の2人連れです。 男性 「ただいまみたいな感じで入ってこられるんで。置いてあるものも全部手作りだし、家でご飯食べているみたいな。(女性とは)同僚です。職場の」 女性 「バレエダンサーです」 2人はプロのバレエダンサー。女性は入団4年目の碓井友さん(25)、男性は入団20年目のベテランダンサーの石田亮一さん(38)です。この日、後輩の碓井さんから「相談がある」と言われた石田さん。「ここなら話しやすいだろう」と、ひょっとこを選びました。 ──プロになってから苦労していることは何ですか? 碓井さん 「苦労していること? バレエが好きじゃなくなっちゃったことですかね」 石田さん 「仕事になるとね。苦しいこともたくさんあるので」 碓井さん 「バレエが好きで入ったはずだったのに、バレエが好きでなくなっちゃいました。それぐらいですかね。私はもうやめます。やめたい。超やめたい!」
■厳しいプロの世界…先輩に相談
バレエは4歳から続けてきたという碓井さん。厳しいプロの世界に悩み、先輩ダンサーに胸の内を明かそうとしていました。 ──やめたいって本当に思っているんですか? 碓井さん 「どうせ若いうちしかできないし。バレエダンサーなんて。いくつになってもやってるもんじゃないと私は思うので」 石田さん 「悩み中だな」 碓井さん 「悩み中」 憧れて入ったプロの世界。ただその現実は、想像以上に厳しいものだったとか。石田さんは「でも舞台に立ったら気持ちいいでしょう?」と語り掛けます。「う~ん、うん」と碓井さん。 この日、先輩の石田さんに励まされ、やめる話は一旦棚上げに。もう少し悩んでみることになりました。
■歌舞伎町界隈で清掃のボランティア
ある日の午後、女将さんと親しげに会話をしながら食事をする男性がいました。小林忠晴さん(55)。注文したのはランチタイムの「銀ダラ煮魚定食」(小鉢2品付き、1000円)です。 女将さん 「どうでしたか、今日は」 小林さん 「2時間半、今してきました」 女将さん 「今してきたの?」 小林さん 「1人でやってきました」 女将さん 「え~どの辺?」 小林さんは1年以上前から、歌舞伎町界隈でボランティアの清掃活動を続けているんだとか。女将さんは「もういろいろ、外の掃除をしたり、あちこちのゴミ拾いをしたり、重要な方なんですよ。歌舞伎町にとっては」と笑います。 小林さんは現在無職。清掃活動を始めたキッカケは思わぬことでした。