電動モビリティの世界最大手「Lime」が再上陸、日本の街並みで“ライムグリーン”が存在感を高められるか
これらのデータを踏まえ、ハートマンCOOは「日本は、この着座式シートボードにとって世界一の市場になる可能性がある」と述べた。 ■実は日本には2度目の進出 実はLimeは日本への進出は2回目だ。前回は2019年9月、福岡市で小規模に実証実験として展開していた。この実証実験は、Fukuoka Smart Easts推進コンソーシアムが主催するFukuoka Smart Eastプロジェクトの一環として行われ、LimeはKDDIおよび株式会社デジタルガレージと共同で参画した。
しかし、コロナ禍での大幅な戦略変更の流れを受けて、Limeは一度日本市場から撤退した経緯がある。 ハートマンCOOは、2017年の創業から2020年までの間、Limeが世界中で非常に急速に拡大していたことを説明した。しかし、当時のLimeは現在とは大きく異なり、低価格のスクーターを使用し、都市との協力関係もあまり築けていなかったという。彼は当時のアプローチを「荒っぽい」と表現した。 日本市場への再参入のきっかけとなったのは、日本の規制環境の変化だ。2019年時点では日本市場は規制が厳しく、大規模な展開が困難だった。しかし、法改正により電動キックボードの位置付けが変わり、「特定小型原付」として認められたことが追い風となった。
2019年の日本参入の経緯から、KDDIとデジタルガレージはLimeの親会社であるNeutron Holdingsの株主でもある。この関係について、ハートマンCOOは「KDDIさんとデジタルガレージさんは弊社の投資家であり、今後も継続的に対話を進めていきます」と述べ、両社との関係の重要性を強調した。 ■適度な規制があるほうが競争しやすい ハートマンCOOは、日本のような適度な規制がある市場のほうがLimeにとって競争優位に立ちやすいと指摘した。この点を説明するために、韓国市場での経験を例に挙げた。Limeは2019年10月に韓国市場に進出したが、わずか3年後の2022年6月にサービスを中断することを余儀なくされた。