電動モビリティの世界最大手「Lime」が再上陸、日本の街並みで“ライムグリーン”が存在感を高められるか
「韓国では政府がマイクロモビリティをあまり規制していませんでした。そのため、プレイヤーが多すぎ、スクーターが溢れ、非常に混乱した状況になっていました」とハートマンCOOは述べた。規制が少ない市場では過度な価格競争に陥りやすく、安全性への投資が困難になると説明した。 「価格が低すぎて車両数が多すぎると、安全性への投資ができなくなります。これは理想的な事業運営方法ではありません」とハートマンCOOは強調した。Limeは韓国政府に対して1年以上にわたって規制の導入を求めたが、最終的に政府が規制を導入しないことを選択したため、撤退を決断したという。
一方で、日本市場については「日本が積極的に合理的な規制を作成したことに、私たちは非常に興奮しています。これは都市にとっても、消費者にとっても、そして企業にとっても良いことです」と評価し、適切な規制環境下での事業展開に期待を示した。 日本市場に合わせて、Limeは車両の改造も実施している。具体的には特定小型原付のサイズに適合するようにハンドルの一部をカットしており、時速6kmの歩行用モードに対応するためのボタンを追加している。
■26年3月末までに2万台を目指す Limeは日本市場での急速な拡大を計画している。サイ氏は、具体的な数値目標を示した。 現在、東京6区に展開しているLimeだが、2025年3月までには関東の主要都市への拡大を予定している。さらに、来年度には関西エリアへの進出も視野に入れている。 車両台数に関しては、段階的な増加を計画している。参入当初は200台からスタートしているが、2024年12月末までに2000台、2026年3月末までには2万台まで増やす意向だ。さらに野心的な目標として、2030年までには全国展開を目指しており、約6万台規模での運用を計画している。
■ポート拡充の課題 Limeの日本展開において、最大の課題の一つがポートの拡充だ。シェアリングモビリティサービスの利便性向上には、十分な数のポートが不可欠だが、都心部での用地確保は容易ではない。現時点で、Limeは東京6区で40ポートを展開しているが、これを大幅に増やす必要がある。 新規参入するLimeにとって、この状況は大きな挑戦となる。サイ氏は、「ポートの獲得はお客様の利便性向上につながる重要な要素です」と述べ、ポート密度を高めていく方針を示した。同時に、「お客様のニーズに合わせて適切な場所に設置することも大切」と付け加え、単に数を増やすだけでなく、戦略的な配置の重要性も強調した。