電動モビリティの世界最大手「Lime」が再上陸、日本の街並みで“ライムグリーン”が存在感を高められるか
この課題は、Limeに限らず業界全体の問題となっている。実際、NTTドコモ傘下とソフトバンク傘下のサービスがポートの共通運用を実施するなど、都市部のポート不足に対応するため競合同士が協調する動きも見られる。 Limeはこの課題に対し、いくつかの対策を講じている。まず、三井住友海上火災保険との包括的パートナーシップを締結し、同社の代理店や顧客の店舗などでのポート開設を推進する。具体的な提携対象は明らかにされていないが、スーパーやコインパーキング、ホテルなどが候補として挙げられている。
さらに、Limeは柔軟なポート設置方法を採用している。返却場所をテープで囲うだけでポートを設置できるため、比較的容易に新しいポートを展開できる利点がある。この方式は、日本で電動キックボードシェアリングサービスを先行して展開しているLUUPも同様に採用しているものだ。 ■安全性の課題 電動キックボードを巡っては、交通マナーや安全性について懸念を持つ人が多いことが、統計などで明らかになっている。警察庁の発表によると、2023年7月の改正道路交通法施行後、電動キックボード利用者の交通違反摘発件数が急増している。施行から2023年12月末までの半年間で、全国で7130件の違反が摘発された。特に懸念されるのは、違反件数が月を追うごとに増加していることだ。7月には405件だった摘発件数が、12月には1879件と約4.6倍に上昇している。
このような状況下、Limeは安全性確保のため、一般的な電動キックボードの乗車時の取り決めを徹底している。具体的には、利用開始時に年齢確認を行い、安全に関するクイズに全問正解することを義務付けている。これにより、利用者の安全意識を高め、基本的な利用ルールの理解を促進している。 加えて、Limeは独自の安全対策も導入している。ヘルメット装着率を高めるため、「ヘルメットセルフィ」というインセンティブ制度を設けている。これは、ヘルメットを着用した状態で自撮り写真をアップロードすると、10%の割引が適用されるというものだ。