電動モビリティの世界最大手「Lime」が再上陸、日本の街並みで“ライムグリーン”が存在感を高められるか
公道での最高速度である時速20kmでの走行は、立ち乗りの電動キックボードでは若干の不安を感じるかもしれないが、シートボードではその安定性から比較的安心して走行できた。ただし、渋谷の狭い一方通行路では、自転車と同様に注意が必要だと感じた。 一方で、改善の余地も見られた。特に気になったのは、6km/h走行モードへの切り替え操作だ。このモードは歩道走行が許可される低速モードだが、切り替えには停止してボタンを長押しする必要がある。また、モード表示が小さなディスプレイ上のカメマークのみで、直射日光下では視認性が低く、現在のモードを確認しづらい場面があった。
この視認性の問題は、低速モードで車道に入ってしまうなど、安全面での懸念につながる可能性がある。ユーザーの慣れも必要だが、より直感的で分かりやすいインターフェースの開発が望まれる。 総じて、Limeのサービスは都市部の短距離移動に適しており、特に着座式シートボードは幅広い年齢層に受け入れられる可能性を感じさせた。ただし、安全面での継続的な改善と、利用者への丁寧な説明が今後の普及には不可欠だろう。 ■着座式シートボードが予想外に好調
Limeには3種類のモビリティがある。電動キックボード、着座式の電動シートボード、電動アシスト自転車だ。日本にはキックボードとシートボードが5対5の比率で導入されている。電動アシスト自転車については「日本には導入しない。理由は欧米人の体格に合わせて作られていて大きいから。今後日本人に合わせた電動アシスト自転車を製造して提供を検討している」(サイ氏)という。 ハートマンCOOによると「当初は着座式シートボードの日本投入を計画していなかったが、高齢化が進む市場背景を踏まえて導入を決めた」と説明する。
結果的にこの戦略は当たっていたようだ。サイ氏によると、日本では着座式シートボードとキックボードを半々で導入しているにもかかわらず、日本進出後2週間の利用実績では着座式が7割、キックボードが3割という比率になっているという。ただしこれは、着座式が普及しておらず、目新しいからという理由があるかもしれない。 ちなみに、着座式シートボードは利用距離も長い傾向にあるという。サイ氏は「通常は2~3kmの利用距離が多い中で、着座式は最長で19kmの利用も見られた」と話す。