電動モビリティの世界最大手「Lime」が再上陸、日本の街並みで“ライムグリーン”が存在感を高められるか
■ Limeの重視するポイント ハートマンCOOは、2020年の危機を乗り越えた後のLimeの戦略について、3つの主要ポイントを強調した。 第一に、Limeは独自のハードウェア開発に注力している。競合他社が外部調達に依存する中、自社エンジニアによるインハウス開発を選択。交換可能なバッテリーや、ペダルやシートなど個別部品の交換が可能なモジュール式設計を採用。ユーザー体験の向上と製品寿命の延長を図っている。
次に、Limeは効率的な運営を重視している。ユーザーのフィードバックデータを継続的に収集・分析し、車両設計やサービスの改善に反映。さらに、交換可能なバッテリーシステムの導入により、充電のための車両移動を最小限に抑え、エネルギー効率とコスト効率を向上させている。 最後に、Limeは都市との強固な関係構築を非常に重要視している。単に事業の許可を得るだけでなく、都市のニーズを深く理解し、それに応えることで持続可能な事業展開を目指している。このアプローチは、多くの都市でLimeが選ばれる要因となっており、長期的な事業の安定性につながっている。
ハートマンCOOは、これらの戦略的重点項目が競合他社とは異なるアプローチであり、Limeの持続可能なビジネスモデルの基盤となっていると強調した。この独自の戦略が、Limeが業界リーダーとしての地位を確立する上で重要な役割を果たしているという。 ■Limeに乗ってみた Limeの日本展開に伴い、実際のサービスを体験する機会を得た。まず、Limeが実施した試乗会に参加し、その後、実際のサービスエリアでの利用も試みた。
試乗会では、Limeの電動キックボードとシートボードの両方を体験できた。初めは慣れない操作に戸惑ったものの、数分の練習で基本的な走行やスラローム走行にも対応できるようになった。 実際のサービス利用では、アプリを使って貸出・返却操作を行う。初回利用時には年齢確認書類を提出し、数問の交通安全クイズに答える必要がある。交通安全クイズは二段階右折や歩道走行などの基本的な内容だ。 今回は代官山のT-SITEから渋谷駅近くのポートまで、約15分かけて移動した。この際、着座式のシートボードを選択した。電動キックボードと比較して、シートボードは明らかに安定感があり、特に速度を出した際の不安感が少ないことが実感できた。