キューバの公務員、月収2000~3000円はホント?
米オバマ大統領とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長の会談が4月11日、実現しました。両国の首脳会談は、実に半世紀ぶり。国交回復に向けた「歴史的な第一歩」と伝えられます。世界の眼があつまるキューバ。この3月、首都ハバナから東端のバラコアまで7都市をまわり、人びとの暮らしをのぞいてきました。2週間の現地訪問をもとに、キューバの「いま」をお伝えします。 【写真】キューバ国民はアメリカとの国交正常化を歓迎しているの?
◆本当に50年代のアメ車が走っているの?
テレビは「絵」になる映像を求めます。キューバの「絵」として、必ずニュース映像に流れるのが50年代のアメ車です。日本の「絵」になる富士山や舞妓のようなものでしょうが、舞妓はどこにでもいるわけではありません。キューバのクラシックカーも同じでは? そんな疑問を抱いて、首都ハバナの空港に降り立ちましたが、迎えにきた車がいきなり年代不明の「年代モノ」でした。
クラシックカーはどこでも、地方でも見かけます。還暦をこえたアメ車と壮年のソ連車が道路の主役です。キューバは“超高齢車”社会。福祉先進国だけあって、“高齢車”の介護(メンテナンス)は万全です。臓器(エンジン等)は西欧製や日本製に移植されていて、お肌(車体の塗装)もしっかり手入れされています。米国の経済制裁で、新車の輸入は限られてきました。そもそも高額な新車を購入できる国民はほとんどいません。みな国交断絶(1961年)以前のアメ車を、修理につぐ修理で延命するしかなかったのです。植民地時代に建てられた建造物も同様、「DIY精神」で延命措置がほどこされています。 ただ、富裕層の多い新市街では韓国車や中国車が目立ちます。長距離バスは中国「宇通客車」がほとんど。テレビ、エアコン、冷蔵庫などの家電製品も、中韓メーカーのロゴばかり。ハバナの主要観光スポットでも中国語が飛び交っています。習近平国家主席はキューバを社会主義陣営の「同志」と位置づけ、インフラ整備に巨額の資金援助を約束しています。「モノ・人・投資」のすべてで、中国の存在感が急速に高まっています。アメリカが国交正常化を急ぐ背景には、「裏庭」のキューバが中国一色に染まらぬうちに、反米を掲げる近隣国に赤色が伝染しないうちに、という焦りがあると見られています。