キューバの公務員、月収2000~3000円はホント?
◆公務員の月収が2000~3000円はホント?
平均月収はその程度です。市内バスは2~3円、スタンドのサンドイッチは10~30円、光熱費も安く、米・パン・油・塩などは無料(配給制)。二世帯・三世帯同居の共働き家庭が多く、これなら生活できそうに思えますね。しかし、衣類や電化製品の価格は日本とあまり変わりません。ぜいたく品(?)の缶コーラは60~80円、缶ビールは100~150円。コーラ1缶で一日の稼ぎが消えてしまいます。ビールを飲むと赤字。しゃれたレストランで飲食すると、1000円近い出費は覚悟しなければなりません。そのうえ最近は配給品の量も減っているようです。これで生活できるのでしょうか? 当然むずかしい。国民の多くは、給料より稼ぎの多い副業をもっています。政府認可の下、民宿・レストラン・タクシー・理容室・学習塾などを営む自営業者が増えていて、公園でスナック菓子を売る老人、玄関先でコーヒーを売る女性の姿もよく見かけました。最近は、自営業者からなる協同組合も増えているようです。また、工場・食堂の従業員が不良品や売れ残りを横流しする、よくいえば再利用するといった裏業の話も耳にしました。このようにキューバ経済は、下層(正業)― 上層(副業・裏業)の「二層構造」になっているのです。 ただし、これを旧東欧共産国や独裁国家と同じく、社会腐敗による「闇経済」「地下経済」などと重ねるのは少しためらわれます。限られたモノの分かち合いということに加え、あまりに大っぴらだからです。当局が見て見ぬふりをしているグレーゾーンの幅も広く、「二層構造」の上部が経済を動かしているように見えます。とりわけ観光客が集まる首都ハバナは、はしたないほど市場経済が浸透しています。 アメリカとの国交正常化では、キューバ国民の「格差拡大」が危惧されています。しかし、格差は90年代から徐々に広がっていて、いまは中間層が拡大する段階に入ったともいわれます。海外移住した親類からの送金で暮らす層に加え、送金を元手に観光ビジネスなどを拡大する層も厚くなっています。アメリカ経済界も、1200万人近いキューバ国民の購買力に期待しているのでしょう。