「EVで雪のなか“立ち往生”したら、どれくらいバッテリーは持ちますか?」 検証で分かった「電欠」しないために“最も有効”な寒さ対策とは?
バッテリーをなるべく減らさない寒さ対策方法とは?
2024年末から2025年初にかけて、今回の冬は西日本と東日本を中心に冬型の気圧配置が強まり、寒気の影響を受けやすいとし、特に東日本と北日本の日本海側では、平年より多く雪が降ることも予想されています。 そうなると懸念されるのが、クルマの立ち往生に遭遇することです。 1台のクルマが動けなくなるだけでも、次々と他のクルマが足止めされ道路は滞留してしまい、結果として運転者や乗客は車内で長時間を過ごさざるを得なくなることもあります。 特にEVの普及が進むなか、こうした状況でどれだけ快適に過ごせるのか、そして電力消費がどの程度のものになるのでしょうか。 【画像】「えっ…!」 これが「最も有効な寒さ対策」です! 実験結果を見る!(36枚)
これに伴う実験として、2021年2月に日本自動車連盟(JAF)は、山形県内で大雪による立ち往生を想定し、EVの車内での過ごし方と電力消費量に関する検証を行いました。 用いられたクルマは日産「リーフ」です。 リーフには40kWhまたは60kWhのバッテリーを搭載したモデルが存在しており、一充電走行距離(WLTCモード)は前者が322km、後者が450kmとなっています。 検証では4台のリーフを使用し、それぞれに1人ずつが乗車。 外気温がマイナス8.1度の環境下で、19時から5時間にわたり暖房の利用条件を変えて検証が行われたといいます。 具体的には、1台目のクルマ(A車)ではオートエアコンを25度で常時稼働させました。 2台目(B車)は電気毛布のみを使用し、電源ソケットを利用して暖を取りました。 3台目(C車)はシートヒーターを高設定にし、さらに足元には電気フットヒーターを配置。 4台目(D車)は毛布を利用し、寒さを感じたときにエアコンを一時的に使用するという方法をとりました。 検証開始後3時間が経過した22時時点では、それぞれの乗員から以下のような感想が報告されました。 B車では「肌が露出した部分が冷たく感じる」との声があり、D車の乗員は「ヒーターを切った後は30分程度は暖かさを感じるが、その後は手足の先から冷え始め、耐えられるのは1時間ほど」と述べています。 この時点で、B車とC車のフロントガラスには氷が付き始めていました。 さらに5時間が経過した24時時点では、A車の乗員が「最初から最後まで快適だった」と語る一方、B車では「体温は保てたものの、毛布がかからない部分は寒かった」とのこと。 C車の乗員は「右足のつま先が冷えてきて、あと2時間が限界」と感じたそうです。 D車ではエアコンを断続的に使い続けた結果、窓ガラスが凍り付き、首から上が冷たくなったという報告がありました。 電力消費については、24時の降車後も翌朝8時まで測定を継続しました。 なお、D車については24時以降、オートエアコン25度の常時稼働に切り替えました。 その結果、実験開始時には全車両のバッテリー残量が70%でしたが、A車では19時開始から24時の時点で38%に減少し、翌朝4時半頃には10%となり運転継続が困難に。 B車とC車は50%以上の残量を保ち、比較的電力消費が少ない結果となりました。 D車は24時の時点で残量60%から翌朝25%に減少しました。 この検証から、電気毛布や電気フットヒーターなどの暖房器具を使用することで、電力消費を抑えながら快適さを維持できる可能性が示されました。 JAFは「EVではバッテリー残量が減少することで航続可能距離が短くなるため、暖房の使い方に工夫が必要」と指摘しています。 また、寒さ対策として毛布や電源ソケットを利用する暖房器具を車内に備えることを推奨しています。 大雪や寒冷地でEVを利用する際には、バッテリー消費を考慮しながら快適性を確保する方法を計画しておくことが重要です。 この実験結果を参考に、事前に適切な装備を準備することで、万が一の立ち往生にも冷静に対応できるでしょう。
くるまのニュース編集部