ロングスロー論争に終止符?!…青森山田が3大会連続決勝進出!
賛否両論がツイッターのトレンドにも登場する盛り上がりを見せたなかで、青森山田は4-0で快勝した5日の堀越(東京A)との準々決勝でも内田のロングスローから2点をあげる。準決勝までの4試合であげた15ゴールのうち、半分近い7ゴールがロングスロー絡みになっている状況にチーム全体が抱いている大いなる矜恃は、準決勝後に黒田監督が残した言葉に象徴されている。 「何でもできるサッカーというのが、私たちがずっと積み上げてきたテーマなので」 攻撃面でいえばポゼッションがあり、左右からのサイド攻撃があり、堅守からのカウンターがあり、そしてセットプレーもある。すべてで対戦相手を凌駕するスタイルを、貪欲に追求してきたなかにしっかりと組み込まれた、30mを超えるロングスローを投じる内田は「飛距離は去年とあまり変わらないけど、ボールの質やスピードは変わってきたと思う」と進化の跡に手応えを感じている。 埼玉県熊谷市で生まれ育った内田は、熊谷東中でサッカーに夢中になっているときに見た、5年前の第94回全国高校サッカー選手権大会で3位に入った青森山田に感銘を受けて進学を決意した。テレビ画面の向こう側では、DF原山海里(現ヴァンラーレ八戸)のロングスローが一世を風靡していた。 野球経験者だった父親からの遺伝なのか。ソフトボール投げで60m超を記録するほど地肩が強かった原山は、サッカーを始めた当初はスローインを大の苦手としていて、試合でファウルスローを連発していた小学生時代に大きなターニングポイントが訪れたと振り返ったことがある。 「当時の監督に『ファウルスローをするぐらいだったら、お前は練習に参加しなくてもいい。ゴールの裏のネットに向かってボールを投げていろ』と言われて。なので、練習に参加することなくひたすらボールを投げているうちに、ロングスローを投げられるようになったんです」 進学した青森山田でも、原山は指揮官が掲げる「何でもできるサッカー」のなかでロングスロワーを拝命した。試合前には入念に肩を温めるために、野球のキャッチボールのようにスローインを繰り返す。学年がふたつ下のMF郷家友太(現ヴィッセル神戸)もまた、指名を受けて原山のロングスローを受け続けた過程で、自分の身体に眠っていた才能に気づかされた。 「青森山田に入る前は、スローインを投げたことはありませんでした。ただ、原山さんの相手を務めていて、自分もちょっと投げてみたら、意外と飛ぶんじゃないかと思ったんです」