「サウジアラビアはルネサンスの真っ只中」──サザビーズが2025年、同国初のイブニングセールを開催
サザビーズの「オリジンズ」開催は、同社がサウジの首都リヤドのアル・ファイサリア・タワーにオフィスをオープンさせる時期と重なる。このビルはノーマン・フォスターが設計を手掛け、同国初の超高層ビルとして知られている。これには、先週同社がアブダビを拠点とする政府系ファンドADQから、最終的に10億ドル(約1500億円)の投資を受ける契約が締結されたことが大きく関係しているだろう。この契約により、負債を抱えている同社の事業存続の一助となったことは言うまでもない。 サザビーズの最高経営責任者チャールズ・スチュワートは、同社を美術品業界を超えた世界的に認知された高級ブランドへと進化させる野心を抱いており、リヤドの拠点開設には期待を込めている。スチュワートは声明で次のように語った。 「サウジアラビアの文化は今、非常にダイナミックな時期を迎えています。サザビーズは数年前からサウジアラビアで積極的に活動しており、文化シーンの活況を目の当たりにしてきました。リヤドに拠点を置くことで、私たちは同国の芸術的環境の充実を支援し、サウジアラビアの若手アーティストを力づけることができるでしょう」 「オリジンズ」の品々はオークションに先立ち、2025年2月1日から8日までディルイーヤで公開展示される。 今回のサウジアラビア拠点に見られるように、サザビーズは近年拡大の姿勢を続けている。2024年7月には香港のランドマーク、チャータービルにアジアにおける新たなフラッグシップ拠点「サザビーズ・メゾン」をオープン。敷地面積は約2230平方メートルにおよび、2つの展覧会スペースが設けられた。 そして10月には、パリのマティニョン・サントノレ地区に新しいパリ本社をオープンさせた。2019年以降、パリではガゴシアンやホワイトキューブなど大手ギャラリーの拠点開設が相次いでいる。サザビーズ・フランスのマリオ・タベラ社長は、この動きはパリがアート市場の中心地として成長中であることを反映していると話す。(翻訳:編集部)
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