「アルゴリズム推薦より人の縁」ミクシーが新SNS「mixi2」を突如リリース
■アルゴリズム推薦との新しい距離感 アルゴリズムによる投稿推薦が当たり前となり、見知らぬ人の投稿(そして広告)が次々と表示される現在のSNS。mixi2はそんな流れに一石を投じるかのような選択をしている。 サービスの中核となるホーム画面では、“フォロー中”をデフォルトのタイムラインに設定している。これは現代のSNSでは珍しい選択だ。多くのSNSがアルゴリズムによる“おすすめ”を前面に押し出す中、ユーザー自身が選択した情報源を優先する姿勢を示している。
もちろん、新しい出会いを提供する“発見”タイムラインも用意されているが、それはあくまでもユーザーが能動的に切り替えて利用する仕様となっている。このようなデザインから、ユーザーの選択を重視しながらプラットフォームとしての発展性も確保するという、バランスの取れたアプローチが見て取れる。 ■「mixi」から継承したもの、しなかったもの 名称に「2」を冠しているものの、mixi2は従来のmixiとは、まったく別のサービスとして設計されている。従来のmixiは日記を書いて読み合うような、ゆったりとした時間の流れるSNSだった。対してmixi2は「今この瞬間」を共有することを大切にしている。これはSNSの使われ方が大きく変化した現代だからこその選択と言えるだろう。
一方で、mixiの強みであった“コミュニティ”の考え方は現代的な形で受け継がれている。mixi2のコミュニティ機能では、相互フォローの関係にある人々を招待したり、承認制のグループを作成したりできる。さらに、アニメやスポーツ中継の同時視聴といったオンラインでの集まりから、キャンプなどのオフライン企画まで、幅広い活動を手軽に計画できるイベント機能と組み合わせることで、共通の関心事を持つ人々の交流をより活発にする仕組みを提供している。
興味深いのは、かつてのmixiの代名詞的機能であった“足あと”を実装していない点だ。誰が自分のプロフィールを見たのかが分かる「足あと」機能は2000年代のSNS文化を象徴する機能だった。しかし、プライバシーに対する意識が高まった現代において、他者の行動を可視化する機能は必ずしも歓迎されない。この機能の非搭載は、現代のユーザーのプライバシー意識に寄り添った判断と言えるだろう(マッシュアップとして、リアクションボタンを長押しすると“足跡マーク”を付けられる隠し機能はある)。