イランがミサイル攻撃 中東緊迫、専門家が語るイランの本音とは?【WBS】
中東情勢が不安定化しています。イランが1日、敵対するイスラエルに向け、複数の弾道ミサイルを発射しました。両国の本格的な軍事衝突が懸念されるなか、原油価格は大きく上昇。日経平均株価も下げ幅が一時1000円を超えるなど世界経済も動揺しています。中東危機は今後どのように展開していくのでしょうか。 【動画】イランが弾道ミサイル発射 イスラエルに報復 イランが1日、ついにイスラエルに180発以上の弾道ミサイルを発射しました。イスラエルのテルアビブ上空にはそれらのミサイルとみられる閃光がありました。地上からはイスラエルがミサイルを迎撃し、大半は迎撃されたということですが、イスラエルメディアはヨルダン川西岸で1人死亡、イスラエル中部で2人が軽傷を負ったと報じています。 イスラエルのネタニヤフ首相は「イランは大きな過ちを犯した。代償を払うことになる」と発言。アメリカのニュースサイト「アクシオス」は2日、イスラエルが数日以内にイラン国内の石油関連施設を標的とした攻撃を行う可能性があると報じています。 こうした中、イランのミサイル発射の一つの要因となったイスラエルとヒズボラとの戦闘で、イスラエル軍がこれまでの旅団より大きな師団を展開させると2日に発表。連日部隊の招集などを進めており、規模が拡大しています。イランのミサイル発射を受け、石破総理は「認められることではない。厳しく非難したいと思う。これが全面戦争に拡大することがないよう連携を取っていきたい」とコメントしました。 そもそも今回、イランがイスラエルを攻撃した理由は何なのでしょうか? 中東調査会の高尾賢一郎研究主幹は「ヒズボラのナスララ師殺害のとき、同時にイランの革命防衛隊の幹部が殺された。これが決定的な引き金になっている」と話します。 イランは今年4月にもイスラエルへの攻撃を行っていますが、今回は弾道ミサイルを使用するなど武器の質を上げ、イスラエル軍の施設をピンポイントで狙ったとみられます。その意味とは? 「けん制と報復の中間というか、そのバランスをとって両方を兼ねたものとしたいというのがイランの本音。当然イスラエルとの直接的な軍事衝突というのは避けたい」(高尾研究主幹) ただ、イスラエルは報復を宣言しています。高尾研究主幹は今後、今回のミサイル攻撃を主導したとされるイラン軍の総司令官や幹部の暗殺があり得るとした上で「前回の攻撃のときはイランの核施設を守るレーダーを狙った。それよりグレードを上げるとなると、核施設を直接攻撃するのは踏み込みすぎ。核施設のレーダーを完全に破壊することが考えられる」と話します。