イランがミサイル攻撃 中東緊迫、専門家が語るイランの本音とは?【WBS】
イラン ミサイル攻撃の背景
イスラエルへのミサイル攻撃に踏み切ったイランですが、国内経済の疲弊もあり、全面戦争は避けたいのが本音です。特に穏健派とされるペゼシュキアン大統領は、もし攻撃すれば報復の口実を与え、それこそ相手の思うつぼだと攻撃に消極的だったとみられます。 ただイランは関係の深い武装組織であるガザのハマス、レバノンのヒズボラの両方の最高幹部、さらに自国のエリート部隊である革命防衛隊の幹部までイスラエルに相次いで殺害されたと見られ、前代未聞の屈辱的な事態に直面しました。このため最終的には報復を求める国内の強硬派が最高指導者ハメネイ氏の承認のもと、ミサイル攻撃を主導した模様です。 今後の焦点は次のイスラエルの報復ですが、特にウラン濃縮などを行うイランの核施設をイスラエルが攻撃するかどうかが鍵となりそうです。既にイスラエルは4月、イランの核施設近くの空軍基地をミサイルで攻撃していて、いつでも核施設を狙えるぞという警告の意味もあったとみられています。 次はその警告を実行するかが注目されますが、イランにとって核施設は国家として最も重要な施設の一つでもあり、仮に破壊されれば引くに引けなくなる恐れがあります。その意味では中東調査会の高尾賢一郎研究主幹が指摘するように、核施設そのものではなく、そのレーダーを攻撃するのは一つの落としどころかもしれません。 イランとイスラエルの報復の連鎖は最悪の場合、新たな中東戦争の始まりを告げるものになる恐れすらあり、全く予断を許しません。 ※ワールドビジネスサテライト